研究課題/領域番号 |
25461924
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
原田 聡 岩手医科大学, 医学部, 講師 (20244931)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 癌治療 / 薬剤標的療法 / 放射線 / 免疫療法 / マイクロカプセル / ナノパーティクル / PIXE |
研究実績の概要 |
放射線照射により、抗がん剤 (カルボプラチン)、あるいはanti-CD47 siRNAを含むnanoparticleを放出するマイクロカプセルを開発した。これに、CTによる検出能を加え、CTによるカプセル動態を画像化した。さらに、カプセル表面をVEGFR-1/2により標識し、VEGFR 1/2抗原抗体反応により集積させ、その集積をCTにより検出することで、転移巣のイメージングを研究した。 カプセルに封入するナノパーティクルを、プロタミンとヒアルロン酸、およびカルボプラチン、あるいはanti CD47 siRNAを混合吸うことで作成した。このパーティクルを、アルギン酸-ヒアルロン酸混合溶液に混入後、VEGFR 1/2 を添加したCa2+とFe2+混合溶液に噴霧し、ナノパーティクルを含むマイクロカプセルを作成した。 マウス乳がんMM48細胞を使用した、肺転移モデル (C3H3/N)に10億個尾静脈より静注し、その動態をCTで画像化、肺転移巣の検出能を測定した。検出後、肺転移巣に対し、100 KeV X 線を照射し、その後、CTにより肺転移巣が減少するか否かを研究した。 美静脈されたマイクロカプセルは、VEGFR 1/2の抗原抗体反応により転移巣に集積し、そのピークは静注後9時間後であった。同集積はCTにより観察可能で、転移巣の明瞭に描出した。検出された肺転移巣に対し、放射線を照射したところ、マイクロカプセルは、カルボプラチン、anti-CD 47 siRNAを含むナノパーティクルを放出し、肺転移巣を優位に減少させた。 ただし、カプセル系がいまだ大きく、静注後、マイクロカプセルによる塞栓症を起こすマウスが見られ、カプセル径をさらに小さくする必要性が考えられた。また、anti-CD siRNAに関しては、マクロファージや、T-cellを活性化する工夫の必要性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノパーティクル、マイクロカプセル作成のノウハウが蓄積され始め、さらに、CTによるカプセル動態観察も可能化されている。 また、ナノパーティクルや、マイクロカプセルを使用した放射線による薬剤標的療法による、抗腫瘍効果増強と抗がん剤副作用軽減も観察されたため、
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今後の研究の推進方策 |
静注後、マイクロカプセルによる塞栓症を起こすマウスが見られる。この問題を解決するため、カプセル径をさらに微細化する、カプセルの毛細血管内での応対変形力の強化が考えられた。 さらに、anti-CD 47 siRNAによる抗腫瘍効果や、転移巣治療効果が低く、これに対する強化も必要である。これに関しては、macrophageや、CD8+ T-cellをより活性化する工夫が必要と考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗部品が、値引きのため、予測値よりも低く抑えられたため。
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次年度使用額の使用計画 |
ガラス器具などの消耗品の充填に使用。
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