研究課題/領域番号 |
25461929
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
前林 勝也 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60332350)
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研究分担者 |
新田 雅之 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (70588269)
中村 香織 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40339023)
河野 佐和 東京女子医科大学, 医学部, 医療練士研修生 (80645820)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 悪性神経膠腫 / 膠芽腫 / 放射線治療 / 強度変調放射線治療 |
研究実績の概要 |
悪性神経膠腫の放射線治療に関する予後因子をみつけ、より良い照射法の基礎的データの蓄積が本研究の目的である。標準的治療を施行した悪性神経膠腫を対象に研究した。2003年~13年の152例で、Grade4(膠芽腫)152例、Grade3は95例、退形成性星細胞腫63例、退形成性傍突起膠腫/傍突起星細胞腫30例であった。併用化学療法にTMZ前の2003年~05年と、IMRTを開始した2008年以後の再発パターンと分子生物学的マーカーを解析した。併用化学療法は、2003年~05年ではACNUを中心の多剤併用で、2008年~はGrade4にTMZ、Grade3にACNUであった。成績はGrade4の2年生存率で33.8%から54.0%、Grade3の3年生存率で75.4%から82.8%に改善した。再発パターンは、照射野内再発が53.3%と有意差は認めなかったが、Grade3で29.7%から24.0%、Grade4で72.7%から72.0%、とGrade3で若干改善した可能性があった。成績に違いを認める1p/19qLOH、IHCSのMGMTメチル化やIDH-1の変異などの分子生物学的マーカーと再発形式を検討したが、以前の報告同様で再発率に違いは認めたが、再発パターンに新たな知見はなかった。照射野内再発の改善理由は、IMRTの影響も考えてGrade3に検討を加えた。IMRTは、主病変近傍に視交叉/視神経などの線量制約臓器のある症例を適応し、それ以外の症例には3次元原体照射(3D-CRT)を用いている。IMRTでは3年生存率 89.1%、3D-CRTで80.7%で統計学的差はなかったが、再発パターンと総合的に考えるとGrade3にはIMRTの有用な可能性もでてきた。一方、Grade4では若干の成績改善はしているものの、いまだ照射野内再発が多くをしめており、新たな治療法を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今まで使用していた実験室と研究室が、耐震工事のための移転が必要となり、引っ越し作業が生じたこと、ならびに、診療部長(講座主任)の1年間の不在期間のために、診療を含む日常業務が予想外に増加してしまったことなどで、研究の進捗はやや遅れてしまっている。しかし、何とか主たる研究結果を出すことはでき、1年の研究延長を承認いただいたので、不足分の研究や実験の追加し、さらならデータ解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
Grade4膠芽腫の治療成績は若干改善しているものの、放射線治療に関するその要因は明らかにできていない。分子生物学的マーカーと放射線照射法ならびに再発形式について再度解析を行いつつ、新たな照射法について今回の研究結果と文献的考察を総合的に評価し、可能であれば臨床試験での実施を目標とした、治療成績改善を期待する新規治療法を考えていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今まで使用していた実験室と研究室が、耐震工事のための移転が必要となり、引っ越し作業が生じたこと、ならびに、診療部長(講座主任)の1年間の不在期間のために、診療を含む日常業務が予想外に増加してしまったことなどで、研究の進捗はやや遅れてしまっている。
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次年度使用額の使用計画 |
遅延した部分の主たる研究結果を出すことはできているので、1年の研究延長を承認いただいた部分で、不足分の研究と実験を追加し、その上でデータの解析を行う予定である。今までの検討結果で、Grade4膠芽腫の治療成績は若干改善しているものの、放射線治療に関するその要因は明らかにできていないので、分子生物学的マーカーと放射線照射法ならびに再発形式についてより詳細な解析を行う。さらに、新たな照射法について今回の研究結果と文献的考察を総合的に評価し、可能であれば臨床試験での実施を目標とした、治療成績改善を期待する新規治療法を考えていく。
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