研究課題
放射線抵抗性の低酸素領域に集積する18F-ミソニダゾール(F-MISO)を用いた臨床研究を実施した。F-MISOを体重1 kg当たり7.4 MBq静脈内投与し、3時間後にPET/CT撮影した。この検査を、照射開始前および照射開始2週目(20Gy/10回前後)の原則2回行った。 2009年から2011年にF-MISO PET/CT検査を行った最初の10例を対象とし、低酸素領域のない筋肉におけるF-MISO SUVmaxをもとに1.60 SUV(平均 + 2SD)以上のF-MISO腫瘍内集積を有意な低酸素領域とした。さらに、腫瘍内F-MISO SUVmaxを筋肉のSUVmaxで割った値(T/M 比)も低酸素状態の指標とした。2015年までに合計22例(頭頸部癌10例、食道癌6例、肛門管癌2例、非小細胞肺癌2例、膵臓癌1例、子宮体癌1例)の検査を行ったが、合計22例のうち18例では治療前F-MISO-PETで低酸素領域を認めた。また照射開始2週目に2回目の検査の行えた17例中16例で、低酸素指標が低下した。本結果は、ヒト腫瘍で再酸素化現象が起きていることを示している。治療前SUVmaxと照射3ヵ月以内での一次効果の関係を検討したところ、腫瘍が完全消失しなかった群のSUVmaxは、完全消失群に比較し有意に高かった(2.4 ± 1.0 vs. 1.7 ±0.4, p=0.005)。また、治療前F-MISO SUVmaxが2.0以上の12例と、2.0未満の10例に分けて検討すると、F-MISO低値群は高値群に比較して局所制御率(p=0.03)および全生存率(p=0.004)が有意に良好であった。以上より、F-MISO-PETで腫瘍内低酸素領域の画像化が可能で、治療前F-MISO SUVmaxが治療成績の推定に役立つ可能性が示された。
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OMICS J Radiol
巻: 4 ページ: 202
10.4172/2167-7964.1000202
Int J Radiat Oncol Biol Phys
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