研究分担者 |
堀本 義哉 順天堂大学, 医学部, 助教 (40424246)
今井 高志 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, プログラムリーダー (50183009)
徳田 恵美 順天堂大学, 医学部, 助教 (70621960)
藤田 真由美 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, 研究員 (80580331)
|
研究実績の概要 |
今年度は、X線感受性が低いと考えられている、炎症性乳癌などで同様の検討を行うことで、全ての乳癌に対して炭素イオン線照射が有効と期待できるか検討をした。また、炭素イオン線照射が浸潤能に及ぼす影響を調べ、炭素イオン線照射が転移抑制に及ぼす影響を基礎的に検討した。 使用した乳癌細胞株は、Luminal-HER2-negative: MCF-7、Basal-like: MDA-MB-468、炎症性乳癌: SUM149 (ER-/PR-/Her2-)である。照射ビームとしては、炭素イオン線(290 MeV,mono, LET 80KeV/µm)を 0.5, 1.0, 1.5, 2.0 Gy、または対照として、X線(200 keV, 20 mA, 60 FSD)を 1.0, 2.0, 3.0, 4.0 Gy照射した。 まず、炎症性乳癌由来細胞株(SUM149)を用い、HDSアッセイを行った。他の乳癌細胞株と同様に、炭素イオン線では生存曲線の肩はなく直線的であった。また、D10値で比較したX線に対する炭素イオン線のRBEは2.4であった。この結果から、炭素イオン線は炎症性乳癌の細胞株においても効果的であると推察された。 次に、乳癌細胞の遊走・浸潤能について、boyden chamber法を用い実験を行った。まず、3種の乳癌細胞株を用い、元々の浸潤能を調べたところ、MDA-MB-468では全体のうち浸潤する細胞の割合が約0.8%と低かったのに対し、SUM149では約7%と高かった。MCF7の浸潤能は非常に低く、検出限界以下だったため、解析対象から除外した。次に、MDA-MB-468及びSUM149の浸潤に対するX線または炭素イオン線の影響を調べたところ、炭素イオン線照射はX線照射に比べ、両細胞株の遊走・浸潤抑制により効果的であることが確認された。
|