大腸癌患者由来のスフェロイド(CTOS)は、低酸素かつ増殖因子非存在下で可逆的な休眠状態に陥る。大腸癌CTOSは高分化型腺癌の性質を維持しており、培養条件によって幹細胞性/分化マーカーの遺伝子発現は大きく変化する。 本研究では、大腸癌CTOSの放射線感受性試験を樹立し、休眠状態のCTOSの放射線感受性と幹細胞性/分化の関連を検討した。休眠状態のCTOSは通常培養条件下と比較して放射線抵抗性を示すが、腸管上皮細胞の幹細胞性マーカーと分化マーカーを同時に高発現していた。休眠状態のCTOSでは、分子酸素の欠乏に加えて、幹細胞性/分化の揺らぎという生物学的要因が放射線抵抗性を誘導する可能性が示唆された。
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