研究実績の概要 |
心停止ドナー肝に対する灌流保存液のHESに関する基礎的検討を行った。 [目的]欧米において心停止ドナーからの臓器移植は活発になり、マージナルドナーからの臓器移植において心臓、肺、肝臓、腎臓において灌流保存方法が行われている。一方、心停止ドナーに適した灌流液の開発は行われてはいない。世界に普及したUW液は、単純冷却用および機械灌流用ともに、膠質浸透圧を維持するためにHESが含まれているものの、HESそのものの効果は疑問視されている。今回、我々はブタを使った心停止ドナー肝臓の室温保存(22℃©前後)においてHESの効果について検討したので報告する。【方法]ブタ(体重20kg)を用いた、Group1:心停止後60分(WIIT60)で肝臓を摘出し作製した灌流液modifyUW-gluconate液(HESを含まないでPEGに置き換えた灌流液)(Group1)および欧米で市販されているHESを含む灌流用保存液Belzer machine UW 液(UW-gluconste)( Group2 )を比較した。灌流時間は4時間で行った。【結果】保存中、門脈圧、肝動脈圧力は両群ともに低下傾向であったが、有意差は見られなかった。保存中の逸脱酵素AST, LDHはともにGroup 1において低値であり、特にASTにおいては有意差がみられた。Viscosityに関しては,両群ともに温度上昇に従い低下したが、有意差は見られなかった。【結語]心停止ドナーからの臓器灌流保存においてHESを含んだ灌流保存液は、肝臓においては必ずしも適切な保存液とはいえず、新たな発想でのかん流液の開発が必要であることが示唆された。
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