研究概要 |
ラット膵島細胞とラット及びマウスの骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)を用いて基礎的な検討を行い、以下の知見を得て報告した(Yanai G, Hayashi T, Qi Z, Yang K-C, Shirouzu Y, Shimabukuro T, Hiura A, Inoue K, Sumi S. Electrofusion of Mesenchymal Stem Cells and Islet Cells for Diabetes Therapy: A Rat Model. PLOS ONE 8: e64499, 2013. )融合細胞で相互に核のリプログラミングが起き、膵島細胞由来核でMSC特異的遺伝子、MSC由来の核でβ細胞特異的遺伝子が発現した。膵島由来の核でKi67が新たに発現し、caspase3の発現が抑制された。培養融合細胞でブドウ糖反応性インスリン分泌が20日間維持された。糖尿病ラットへの同系移植で、膵島単独では移植効果が無い膵島量(1000個)から作成した融合細胞の移植で、91日間にわたり次第に増強する移植効果(血糖低下・体重増加)が観察された。 以上の研究成果と膵島細胞が2次元単層培養とりも細胞スフェアを形成させることでβ細胞機能が向上するとの研究結果を受けて、ラット融合細胞の効率的スフェア化のための独自のデバイスを発明し、試作品でその有効性を確認した(特願2014-34577、タイトル:スフェロイド作製用デバイス、回収方法、及びスフェロイド製造方法、出願人:株式会社クラレ・国立大学法人京都大学、出願日:2014年2月25日)。 現在までに、ラット融合細胞を定常的に作成する体制が整い、細胞塊を作成して、in vitroでの詳細な検討と、直接の同種移植、マクロカプセル化しての異種移植等の実験を実施しており、平成26年中に一定の成果を得たいと目論んでいる。
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