研究課題/領域番号 |
25461944
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩永 康裕 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (80378661)
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研究分担者 |
金宗 潤 京都大学, 再生医科学研究所, 研究員 (10511925) [辞退]
岩田 博夫 京都大学, 再生医科学研究所, 名誉教授 (30160120)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 膵島移植 / 膵幹細胞 / マイクロカプセル化 / 膵島再生 |
研究実績の概要 |
私達はドナー不足問題解決に向けて、膵島分離後の廃棄組織から膵幹細胞を分離培養して、高いインスリン分泌機能を持つ再生膵島の増殖培養法を発明した。本研究では、この技術を応用して、幹細胞ニッチ組織を丸ごとマイクロカプセル化し、間質系細胞と膵幹細胞との細胞間シグナルに着目して移植実験系でカプセル内の幹細胞分化再生プロセスの解析を試みた。 まず、マウス膵を用いて膵幹細胞である中心腺房細胞がニッチ組織内で生存し、膵島細胞への分化能を維持した状態で、ニッチ組織全体をマイクロカプセル化する組織加工条件を確立した。 移植後十分な組織を回収できなかったため、カプセル内幹細胞の分化再生プロセスは解析できなかった。そこで増殖培養したマイクロカプセル化ニッチ組織に、分化誘導シグナル候補と考えられたアクチビン、BMP4を外から加えて分化培養を試みたところ、細胞塊からbudding outしてきていると考えられるスフェロイドの存在を認めた。つまり、マイクロカプセル内に分化誘導後の内胚葉系細胞群をスフェロイドの形で選択培養できた。サイトメトリーによる細胞解析ではこれらの細胞塊に再生におけるケモカイン受容体CXCR4陽性細胞を認めた。 最終年度には、マイクロカプセル化ニッチ組織を分化培養したサンプルから、Pdx1, Sox9の発現を認め、一時的なNgn3も検出でき、マイクロカプセル化ニッチ組織から比較的純度の高い膵前駆体を培養する方法を確立した。しかしながら、これらを糖尿病モデルマウスに移植し、血糖値の安定化を得ることはできなかった。 マイクロカプセル化のまま高機能の再生膵島を分化誘導する培養法を確立できたので、さらに移植実験系で糖尿病を治すことが出来れば、ドナー不足問題の解決と同時にマイクロカプセルによる免疫隔離で移植成績の向上も期待できる次世代の膵島移植を開発出来ると考えている。
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