研究課題/領域番号 |
25461948
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
石山 宏平 広島大学, 大学病院, 病院助教 (50437589)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 膵島移植 / NK細胞 / 間葉系幹細胞 |
研究概要 |
20世紀末から飛躍的に発展してきた臓器移植に続く次世代医療として、低侵襲かつ簡便な細胞移植の可能性に大きな期待が寄せられている。その中でも、膵島移植は比較的早い時期からI型糖尿病に対する標準治療として確立されると注目されてきた。近年、欧米における臨床膵島移植の成績は向上してきたが、限られたドナーからの膵島供給や、特殊な免疫抑制管理、複数回移植の必要性など、依然として数多くのハードルが膵島移植の発展を妨げているのが現状である。申請者は、膵島の移植部位となる肝臓免疫に着目した研究に従事し、同種同系・異系膵島を肝臓内移植することで肝臓内Natural Killer(NK)細胞の膵島に対する細胞傷害活性が増強し、膵島グラフトが廃絶されることをマウスモデルで証明した背景から、本研究では、臨床膵島移植の成績向上のために肝臓内免疫細胞の膵島グラフトに対する細胞傷害活性を抑制するための新しい免疫抑制療法の開発を目的とする。 NK細胞を肝臓内NK細胞、末梢血NK細胞に分けて解析してきたが、NK細胞の活性化メカニズムをより深く解明するために、肝臓内NK細胞を更に分類することとした。成熟NK細胞と未熟NK細胞に分類することで、活性化NK細胞の機能解析を進めた。当該年度では、未熟NK細胞が主に、細胞傷害に影響することを確認できた。 間葉系幹細胞による活性化NK細胞の制御に関しては、抑制効果は確認できたが、メカニズム解析に関しては検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
NK細胞を活性化させる際に、IL-2刺激を行っていたが、エフェクターとなる活性化NK細胞が安定して回収できないことが、実験の進捗に大きく影響していた。活性化NK細胞の安定供給を求めるために、サイトカイン刺激の種類や培養条件を設定する必要があったため、間葉系幹細胞による抑制実験も研究が進まなかった。 現在は、膵島移植後に生じるIBMIRという現象のもとに産生されるサイトカインを主体にNK細胞活性化実験を進めており、研究が進み始めている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りに、膵島移植後にNK細胞が活性化するメカニズムを解析し、間葉系幹細胞をはじめとした免疫抑制物質の解明を行う。 現在は、マウス膵島移植の手技も安定し、in vivoでの治療効果の検討も開始できる状況である。
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次年度の研究費の使用計画 |
NK細胞上の表面抗原確認用の抗体試薬用に使用額を計上していたが、抗体希釈により十分に検査可能であったため、その分の費用が節約できた。 翌年度使用分として計上し、マウス購入費に充てることを計画している。
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