研究課題
1.大腸癌における新規治療標的因子PLS3の同定 大腸癌症例の検体を用いた網羅的解析により転移陽性症例のみに血中で検出可能なPlastin3 (PLS3)を同定した。またその機能解析により、PLS3が上皮間葉移行 (EMT)や癌幹細胞化を促進することを明らかにした。2.PLS3をターゲットにした樹状細胞ワクチン療法の開発 癌幹細胞の特異抗原としてPLS3が同定され、新規免疫治療のターゲットとして選出した。
2: おおむね順調に進展している
これまでに免疫治療のターゲットとなりうるPLS3を同定することができた。しかし、HLA拘束性PLS3ペプチドの同定、およびPLS3陽性細胞に対し特異的に殺傷能をもつ樹状細胞の誘導および、killer T cellの誘導に難渋した。この原因として我々は、腫瘍細胞がPD-L1を発現することで宿主側の免疫反応が抑制されていることを想定した。PD-L1はT cellのPD-1を介してT cellの攻撃を抑制することが報告されている(Ribas A. N Engl J Med, 2012; 366: 2517-9)。また、T cellの抗腫瘍効果発現には、HLA classⅠ発現が必須であることが報告されている(Garrido F et al, Int J Cancer, 2010; 127: 249-56)。そこで我々は、腫瘍細胞による免疫回避機構に注目し、臨床検体におけるPD-L1とHLA classⅠの発現の臨床的意義を検討したところ、食道扁平上皮癌においてHLA class1 とPD-L1ともに高発現している症例が再発率が高く、予後不良であることがわかった(論文投稿中)。
今年度の食道癌におけるPD-L1とHLA classⅠの発現の臨床的意義の検討から、PD-L1の発現によりPLS3特異的killer T cellの誘導が阻害されている可能性が示唆された。今後は、PD-L1阻害剤等によるPD-L1抑制も考慮しながらPLS3特異的killer T cellの効率的な誘導法を確立していく予定である。
小額の為、次年度繰越。
来年度の物品購入予定。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件)
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