研究課題
大腸癌に対する腹腔鏡下手術では、腫瘍の術中進展状況の把握のための用手観察は困難で腹腔鏡の視覚的観察により判断される。通常使用される腹腔鏡観察では大腸癌の壁深達度・腹膜播種・肝転移・リンパ節転移などの詳細な観察には限界があり、手術中でも術前の画像診断を進行度の根拠にすることが多い。本研究では、NBI (Narrow band imaging)を腹腔鏡観察に応用し、通常観察では判断できない詳細な腫瘍進展度を明らかにするとともに、癌治療に対する特異性(抗癌剤の感受性・放射線感受性)について関連も検討する。現時点で、腹腔鏡下NBI観察・摘出標本の病理診断・術前画像診断から、NBI観察による腫瘍漿膜面の血管密度や線維化に関する独自の分類を見出すことができた。さらに、肝転移巣や腹膜播種病巣についても、NBI観察による独自の分類を作成することができた。腹腔鏡科NBI観察の確実性を検討していくとともに、癌治療に対する特異性と抗癌剤の感受性遺伝子・放射線感受性遺伝子の発現についても検討する。