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2013 年度 実施状況報告書

移植腎Klothoの腎移植後ミネラル代謝における役割と腎・生命予後への影響

研究課題

研究課題/領域番号 25461962
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東海大学

研究代表者

中村 道郎  東海大学, 医学部, 准教授 (00246547)

研究分担者 深川 雅史  東海大学, 医学部, 教授 (00211516)
角田 隆俊  東海大学, 医学部, 准教授 (50276854)
白井 博之  東海大学, 医学部, 講師 (90346338)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード腎移植 / Klotho / ミネラル代謝
研究概要

<予備的研究>
腎移植ドナーから摘出された5腎の腎静脈から採取した可溶性Klotho値は、3315±1402 pg/mlで、生体腎移植ドナー5名の術前採血から測定した可溶性Klotho値416±94 pg/mlより有意に高値を示し、約8倍に相当した。ドナーの術前腎機能(血清Cr値)との相関は認められなかった。摘出された腎静脈のKlothoの測定値は、血中濃度より遥かに高値を示し、腎から可溶性Klothoが流出していること、移植腎からレシピエントにKlothoが持ち込まれる可能性が高いことが確認できた。
<横断的研究>
研究内容を説明の上、同意の得られた外来腎移植患者から血液を採取した。患者背景(年齢、性別、原疾患、透析歴、移植後期間、免疫抑制剤内容)、検査項目(一般生化学検査(Cr, Ca, P, ALP, T-Chol, TG, CRPなど)、血球検査、副甲状腺ホルモン、可溶性Klotho)をもとに相関関係などを分析した。(結果)腎移植患者12名(年齢45歳、透析歴15ヶ月、移植後期間平均3ヶ月)。1) 腎移植患者におけるKlotho値: 478.2±234.0 pg/ml。2) 腎移植患者におけるKlotho値と種々の背景因子との関係:年齢、性別、原疾患、透析歴、移植後期間、服薬免疫抑制剤による相関は認められなかった。3) 腎移植患者におけるKlotho値と骨ミネラル関連パラメータとの関係では、Klotho値と血清Caと有意な相関関係が認められた(p=0.024, r=0.670)。P, ALP, iPTH値との相関は認められなかった。4) 腎移植患者におけるKlotho値と腎機能:Klotho値とCr値との相関は認められなかった。5) 腎移植患者におけるKlotho値と内服免疫抑制剤:有意差は認められなかった。(考察)腎移植患者のKlotho値にはばらつきが多く、背景因子やミネラル関連マーカーとの相関も少ないようである。血清Ca値との相関関係の意味は今の段階では不明である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

この臨床研究における倫理委員会の承認を待って患者サンプルの採取を開始したので、サンプル採取がやや遅れる結果となった。
パイロット研究となる予備研究におけるサンプル採取の機会が少なく、やや律速段階となった。
また、この研究の最も中心となるKlotho値の測定にばらつきがあり、測定精度を良くするために期間を要した。
軌道にのってからは順調にサンプル採集、測定も安定しており、今後も順調なペースで進展していくものと考えている。

今後の研究の推進方策

平成25年度に行った予備研究、横断的研究によって、ある程度成果と傾向が把握できた。今後は従来の計画通り、縦断的研究を中心に研究を推進していきたいと考えている。
すでに縦断的研究のためのサンプル採集は順調にすすんでおり、測定の技術等も安定しているので、必要備品と試薬などを購入後、研究を推進していけるものと考えている。
<今後の展望>今回の予備研究において、移植腎からKlothoがレシピエントにもたらされる可能性があり、腎移植後Klothoの血中濃度が変化することが予想される。Klotho蛋白が腎移植患者の腎予後へ及ぼす影響や、免疫抑制剤によるKlothoに与える影響を検討するために、前向きの縦断的研究が必要と考えられる。血清可溶性Klotho、腎生検上のKlotho蛋白の発現程度を含め、現在前向き観察研究を行っている。

次年度の研究費の使用計画

購入予定の病理染色用の試薬の一部について、予定より安価であったことや、すでに在庫があったことで25年度の購入を予定変更したため、次年度使用額が生じた。26年度には購入が必要と考えられ、繰り越し金を充当させる予定である。
平成25年度に行われた予備的研究、横断的研究をもとに、平成26年度は、縦断的研究に主眼をおき、研究目的を一つずつ明らかにして行く予定である。横断的研究の追跡研究と新規腎移植患者の前向き縦断的研究を計画している。
検討する項目は、年齢、性別、体格、血圧、原疾患、透析歴、移植後期間、免疫抑制剤内容、服用内服薬などの患者背景。検査項目は、一般生化学検査(Cr, Ca, P, ALP, T-Chol, TG, CRPなど)、血球検査、副甲状腺ホルモン、骨代謝マーカー、FGF23、可溶性Klothoである。また、腎生検にてKlotho、FGFR(FGF receptor)の免疫染色を行う。腎生検における染色用の試薬に繰越金を充当させる予定である。2年間の前向き観察期間の終了後、観察開始時点におけるさまざまな要因が、移植腎予後(移植腎機能の変化率)や患者予後に及ぼす影響を検証する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Clinicopathological analysis of persistent hypercalcemia and hyperparathyroidism after kidney transplantation in long-term dialysis patients2013

    • 著者名/発表者名
      Nakamura M, Tanaka K, Marui Y, Tomikawa S
    • 雑誌名

      Therapeutic Apheresis and Dialysis

      巻: 17 ページ: 551-556

    • DOI

      10.1111/1744-9987.12018.

    • 査読あり
  • [学会発表] 腎移植前後のCKD-MBDへの副甲状腺機能亢進症の関与と対策2013

    • 著者名/発表者名
      中村 道郎
    • 学会等名
      第49回日本移植学会総会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20130905-20130907
  • [学会発表] 副甲状腺機能亢進症における外科手術適応2013

    • 著者名/発表者名
      中村 道郎
    • 学会等名
      日本腎不全外科研究会
    • 発表場所
      新潟
    • 年月日
      20130706-20130706
  • [学会発表] Clinicopathological analysis of persistent hypercalcemia and hyperparathyroidism after kidney transplantation in long-term dialysis patients2013

    • 著者名/発表者名
      Michio Nakamura
    • 学会等名
      American Transplant Congress 2013
    • 発表場所
      Seatle
    • 年月日
      20130518-20130522

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公開日: 2015-05-28  

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