研究課題/領域番号 |
25461964
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
小山 一郎 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (10266760)
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研究分担者 |
渕之上 昌平 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (10147382)
寺岡 慧 国際医療福祉大学, 大学病院, 教授 (20147383)
場集田 寿 順天堂大学, 医学部, その他 (40439295)
奥村 康 順天堂大学, 医学部, 教授 (50009700)
中島 一朗 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80198077)
村上 徹 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (50287356)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 臓器移植 / 免疫寛容 |
研究概要 |
2009年から計16名の患者に対して免疫寛容導入プロトコールによる腎移植を施行した。本プロトコールは、自己リンパ球由来の調節性T細胞様細胞を生体外で誘導し、腎移植後の患者に輸注することによってドナー特異的な移植免疫寛容状態を導入することを骨子とするものである。昨年度は各症例について臨床的観点から検討を加えた。全例において安全に細胞輸注までのプロトコールは完遂可能であり重大な有害事象は認めなかった。臨床的検討項目は具体的には、移植腎生着率、免疫抑制剤の減量の程度、移植腎機能、腎生検病理標本による拒絶反応の診断、パネル反応性抗体(Panel Reactive Antibody :PRA)法による抗HLA抗体の有無についての検索である。その結果、移植腎機能は移植腎生着率は100%、血清Crは平均1.56mg/dlと良好であったが、経過観察期間中に9名(56%)の患者において移植腎生検病理標本で軽度ではあるものの拒絶反応の所見を認めた。これらの拒絶反応に対しては免疫抑制剤の減量の中止により進行防止が可能であり、全例で移植腎機能は回復したが、安全性を考慮してそれ以上の抑制剤減量は控えた。また、PRA法による抗体検索では7名(44%)に抗HLA抗体が新規に発現した。この抗体出現と拒絶発症との関連性は不明であるが、B細胞抑制が不十分であると考えられた。以上の結果より、これまでの症例では移植免疫寛容の獲得には至っておらず、プロトコール改訂の必要性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで実施してきた症例の経過から、何らかの見直しが必要であると考えられ、新規症例に対するプロトコールが確定していないことが達成度が不十分である大きな理由である。
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今後の研究の推進方策 |
①培養細胞の質、数の問題 ②培養細胞輸注の時期の問題 ③レシピエントのコンディショニングの問題 ④免疫抑制剤減量の方法の問題 ⑤免疫モニタリングの問題 以上の各点について検討を加える予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
新規症例がなかったので、細胞培養のための費用、抗体購入費がかからなかったため。 新規症例に対して使用する予定である。
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