研究課題
実施した16例のうち1例が慢性拒絶により術後6年5か月目に移植腎機能を喪失した。機能の保たれている他の症例の血清クレアチニン値は平均1.56mg/dlと良好であった。同時期に当科において標準的免疫抑制療法で行なわれた生体腎移植症例28例と比較比較すると、免疫抑制剤は約半分の内服量まで減量可能であった。経過観察期間中に9名(56%)の患者において移植腎生検病理標本で軽度ではあるものの拒絶反応の所見を認めた。これらの拒絶反応に対しては免疫抑制剤の減量の中止により進行防止が可能であり移植腎機能は回復したが、安全性、倫理性を考慮してそれ以上の抑制剤減量は控えた。PRA法による抗体検索: 7名(44%)にドナー非特異的であるものの、新規の抗HLA抗体の発現を認めた。CSFE MLR: 3rd partyに対する反応と比較して、ドナーに対する反応性は1/2-1/4と低反応性を示した。以上の結果より、本プロトコールでは移植免疫寛容の完全な導入には至らないものの、ドナー特異的免疫低反応が得られた可能性がある。さらに効果を確実にするために、各症例に対する評価を継続することと、レジメンの改良の必要があると考えられた。
すべて 2016
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Hepatology
巻: 00 ページ: 00
10.1002/hep.28459