研究課題
脂肪肝グラフトは移植後十分に機能せずグラフト機能不全を高率に発症することが最大の難点である。機能不全克服のため様々な試みがなされているが、未だ臨床に応用できる有効な方法は確立されていない。高脂血症治療薬として汎用されているスタチン系薬剤(HMG-CoA還元酵素阻害薬)が持つ多面的効果 (pleiotropic effect)、特に抗酸化・抗炎症作用と血管内皮機能改善作用、脂肪沈着抑制作用に着目し、より簡便で非侵襲的な方法での脂肪肝グラフト移植後の機能不全の回避や機能保持が可能である事を証明する。ラットの高度脂肪肝グラフトを用いた50%ないし30%部分肝移植モデルを用いて、肝移植におけるスタチンの具体的な作用を解明するため、移植後の組織学的な脂肪肝やグラフト障害・肝線維化の評価、血清および組織中の肝再生因子発現と組織学的な肝再生の状況、門脈血行動態の変化などをコントロール群と比較検討して研究を進めている。
3: やや遅れている
高度脂肪肝グラフト移植におけるドナー肝作成が安定しておらず、移植後に脂肪肝が組織学的評価で容易に改善してしまう症例が散在している。また30%過小グラフト移植は非常に手技が繊細かつ高度な技術を要するので、その確立・安定化に時間を要しているため、やや進捗状況は遅れている。
高度脂肪肝グラフトドナーの作成を安定させ、術後のグラフト機能に対してよりcriticalな状況となる30%過小グラフト移植の症例数を増やし、データ収集を進めて解析を進める予定である。
高額な試薬等の購入には少し少額であるため、次年度分と合わせ有効利用することにした。
脂肪肝ラット肝移植モデルは作成に高額な飼料購入・ラット頭数・手術物品などに経費が非常にかかるため、それらの購入および抗体などの実験物品購入に使用する予定である。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件)
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