研究課題
【研究の目的】近年marginal graftの中でも生活習慣病に関連したnon alcoholic fatty liver disease (NAFLD)による脂肪肝グラフトに遭遇する機会が多いが、脂肪肝グラフトは移植後十分に機能せずグラフト機能不全を高率に発症することが最大の難点である。高脂血症治療薬として汎用されているスタチン系薬剤(HMG-CoA還元酵素阻害薬)が持つ多面的効果 (pleiotropic effect)、特に抗酸化・抗炎症作用と血管内皮機能改善作用、脂肪沈着抑制作用に着目し、より簡便で非侵襲的な方法での脂肪肝グラフト移植後の類洞内皮障害軽減と脂肪変性軽減・肝再生や肝線維化抑制への関与を解明する。【方法】ラットの高度脂肪肝グラフトを用いた50%部分肝移植モデルを用いて、コントロール群(C群)とスタチン投与群(S群)の2群間での血清学的・病理学的比較を行った。【結果】1)血清学的検査:肝移植後3日目のASTはC群:563±73 U/L、S群:302±73U/LとS群で低い傾向を示した。術後7日目の中性脂肪値はC群:76.7±4.2mg/dl、S群:38±10.4mg/dlとS群で有意に低値であった(p=0.03)。ヒアルロン酸はC群:152±41ng/ml、S群:56.1±6.6mg/dlとS群で低い傾向を示した(p=0.07)。T-Bil値では差を認めなかった。2)病理学的検査:術後3日目の組織学的所見ではC群に比較し、S群でZone1の門脈周囲の炎症細胞浸潤が抑制されている傾向を示した。なお移植後の脂肪肝は両群ともに術後7日目には改善しており、差は認めなかった。スタチン投与により肝移植後早期の虚血再還流障害や肝線維化が軽減される可能性が示唆された。ただ脂肪肝モデル作成にばらつきがあり、改善の余地があると考えられる。
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