研究実績の概要 |
2009-2010年度の若手研究(B)において, マウスInterleukin-23(IL-23)遺伝子発現アデノウィルスベクター導入dendritic cell(DC)の抗腫瘍効果について検討するために, マウス組換えアデノウィルスベクター(ファイバー: RGD)(Ad-IL23)を作製した. 本課題においても, 同じAd-IL23を使用してきたが, 追加の作製工程において, 作成効率がきわめて低く, また最終産物のRCAが高値といった問題が発生したため, 以後の検討は, IL-23プラスミドベクターを用いて, in vivo electroporation(IVE)でマウスにIL-23を全身発現させる(IL-23-IVE)実験系に変更することにした. その為, 平成25年度に行ったin vivo実験のための条件検討を, IL-23-IVEとCTLA-4, PD-1, TIM-3に対する阻害抗体を用いて再度行った. すなわち, IL-23-IVEのにおける相乗効果に関する検討を担がんマウスモデル(B16F10, MCA205, MC38等)を用いて, モデルを構築した(抗体の投与量, タイミングおよび回数の検討). 条件検討後, 引き続き, B16F10腫瘍モデルにおける, IL-23とCTLA-4, PD-1, TIM-3に対する阻害抗体の相乗効果の検討に移行した.主に腫瘍径, 生存曲線のデータを集積し, 現在, 再試を繰り返しているところである.
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今後の研究の推進方策 |
B16F10腫瘍モデルにおける, IL-23とCTLA-4, PD-1, TIM-3に対する阻害抗体の相乗効果に関して検討を行っていく. また, その相乗効果のメカニズムに関する解析として, 治療後のマウスの腫瘍浸潤リンパ球, 所属リンパ節ならびに脾臓における抗腫瘍免疫反応の性質と程度を各種免疫学的手法を用いて検討する. 26年度の結果をもとに, 相乗効果を示した抗体の数種をコンビネーションで腹腔内投与し, 完全治癒が可能な治療法を模索していく. 手法としては, Wild typeのマウスに, 皮下腫瘍モデルにおける治療として, in vivo electroporation(IVE)でマウスにIL-23を全身発現させた(IL-23-IVE)後, CTLA-4, PD-1, TIM-3を併用投与 (単独)と, CTLA-4, PD-1, TIM-3のそれぞれ2-3種類を併用投与 (コンビネーション)して, その抗腫瘍効果ならびに免疫反応について検討する. そのマウスのリンパ節ならびに脾臓を採取し, そのサイトカイン分泌パターンを時系列的に検討するとともに,NK細胞およびNKT細胞の関与を検討する. 一方, in vitroにおける免疫学的解析としては, (1)細胞数計測, (2)Th細胞サブセット比率, (3)CTLの初期活性化マーカーであるCD69の発現のFACSCalibur解析(2カラー解析), (4)抗CD4-PerCP抗体, 抗CCR7-PE抗体, 抗CD45RA-FITC抗体を用いたエフェクターメモリー細胞およびセントラルメモリー細胞比率のFACSCalibur解析(3カラー解析), (5) 51Cr-放出法による癌抗原特異的CTL活性の解析, (6) 細胞内染色法によるTh細胞およびCTLのサイトカイン(IL-17/IFN-γ)産生能のFACSCalibur解析 (3カラー解析), (7)テトラマーを用いた癌関連抗原に特異的CTLの動態および機能の各種免疫学的解析解析を行う.
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