研究実績の概要 |
本研究は、新たに乳癌腋窩リンパ節転移に関係する遺伝子群を同定し、癌リンパ節転移の分子機構及び病態を解明し、腋窩リンパ節転移予測法を開発することで臨床における治療戦略に応用するというテーマのもとで開始された。一般的に乳癌において腋窩リンパ節転移の有無は予後に大きく関係することが知られているが、リンパ節転移のメカニズムは未だ明らかになっておらず、現状ではあらゆる手段を用いても乳癌原発巣の検査により腋窩リンパ節転移を予測するのは困難である。腋窩リンパ節転移予測法を用いて術前に腋窩リンパ節転移の有無を高精度に予測することができれば、実臨床では術前ホルモン療法や術前化学療法の必要性を判断する際にたいへん有用な情報になるものと思われる。また本研究によりリンパ節転移の分子機構が解明されれば、それらを対象にした分子標的治療薬等の開発によりリンパ節転移が未然に防げる可能性があると考えられたからである。 研究実績としては、外部LuminalA乳癌の原発巣マイクロアレイデータ388例をThe training setとして解析して腋窩リンパ節転移に関係する遺伝子群292個を同定し、腋窩リンパ節転移予測法「genomic nodal index (GNI)」を開発した。次に科研費を用いて作成した当科59例(The first validation set)と、同じく当科23例と外部データを含む計103例(The second validation set)に適用して性能を検証し、下記のタイトルでCancer Lettersに論文掲載することができた。 Development of a prediction model for lymph node metastasis in luminal A subtype breast cancer: The possibility to omit sentinel lymph node biopsy Chiaki Nakauchi, Yasuto Naoi,他 Cancer Letters 353 (2014) 52-8 その後、外部LuminalB乳癌の原発巣マイクロアレイデータ230例をThe training setとして解析し、腋窩リンパ節転移に関係する遺伝子群の同定を試みた。
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