研究課題/領域番号 |
25461982
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 尚絅大学 |
研究代表者 |
狩生 徹 尚絅大学, 生活科学部, 准教授 (10412735)
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研究分担者 |
今村 隆寿 熊本大学, その他の研究科, 准教授 (20176499)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 乳がん / エキソーム解析 |
研究概要 |
乳がんはエストロゲンレセプター(ER)、プロゲステロンレセプター、HER2の発現解析に基づいて分類される。上記3分子の発現がすべて低いトリプルネガティブと呼ばれる乳がんは全体の15-20%を占め、ホルモン療法やターゲット治療法としてのトラスツズマブやラバチニブに感受性が低く、予後が悪いため再発、転移する確率が高い。トリプルネガティブ乳がんの特性の理解や特異的な治療法開発のためにも、その分子標的となるがん化に重要な変異の同定が不可欠である。 本研究ではトリプルネガティブ乳がん組織より全ゲノムを調整し、DNA断片化、エキソン領域の調整と高カバレージの解析を行う。そのエキソーム情報とトランスクリプトーム解析やプロテオミクス情報を融合した分子遺伝学的解析を行うことにより、そのがん化に重要な体細胞変異とその下流シグナル経路の同定に取り組む。さらに変異を導入した乳腺上皮培養細胞やトランスジェニックマウスを用いた解析により、その体細胞変異の腫瘍形成能を確認する。本研究課題による新規体細胞変異同定は、悪性度が高いトリプルネガティブ乳がんの診断・予後マーカーや分子標的薬剤開発への重要な知見となる。 当該研究では、女性ホルモン応答性がんを中心に、エストロゲンレセプター(ERα、β)、プロゲステロンレセプター、HER2遺伝子発現量を定量し、全ての遺伝子発現が低いトリプルネガティブ群と対照となるホルモンレセプター高発現群を用いて全エキソン配列(エキソーム)解析を行うために、乳がんサンプルの前処理等を行っている。さらに近年乳がんや子宮がん等のホルモン応答性がんでの発現が確認されたアナフィラトキシン受容体に着目し、その細胞内シグナル伝達、関連遺伝子と発現量の情報とともに悪性度との関連を解析するための予備実験を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は研究代表者の所属機関の移動及び研究分担者の変更が有り、当初の想定よりも研究準備等に時間を取られたため達成度の遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
乳がんエキソーム一次解析、二次解析をさらに進め、体細胞変異、挿入、重複等の検出と、ヒトゲノム変異データベースとの比較解析を行う。上記解析により絞り込んだ候補遺伝子の、発現量、周辺遺伝子構造等を確認するとともに、ヒト乳腺上皮細胞であるMCF-10Aやヒト乳腺上皮由来テロメアーゼ不死化細胞hTERT-HME1にエレクトロポレーションにより変異遺伝子領域を導入し、その悪性転換能、下流の発現遺伝子の変化等を解析する。コードするタンパク質に応じて、下流シグナル、相互作用分子の解析、タンパク質の細胞内安定性、プロテオーム解析を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画達成に遅れが有るため。 ホルモン関連がんエキソーム解析及び二次解析、関連遺伝子発現を行う。
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