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2013 年度 実施状況報告書

Notch4を標的としたホルモンレセプター陰性、HER2陰性乳癌の治療法開発

研究課題

研究課題/領域番号 25461983
研究種目

基盤研究(C)

研究機関九州大学

研究代表者

久保 真  九州大学, 大学病院, 助教 (60403961)

研究分担者 片野 光男  九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10145203)
中野 賢二  九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 教授 (00315061)
大西 秀哉  九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30553276)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード浸潤性乳菅癌 / トリプルネガティブ乳癌 / Notch経路 / Notch4
研究概要

現在の乳癌治療は、病期(ステージ)だけではなく、個々の乳癌の生物特性すなわちホルモンレセプター(HR)、HER2などの発現状況に基づいて個別化されている。特に、HR陰性かつHER2陰性のいわゆるトリプルネガティブ(TN)乳癌は明らかな治療標的を持たないため、抗癌剤治療の奏効率は比較的高いにもかかわらず、早期に遠隔転移を来たし予後不良である。我々が乳癌の形態形成シグナルを解析する中で、TN乳癌ではNotch経路、特にNotch4が活性化し、機能亢進している可能性を見出した意義は大きい。
まず、手術摘出浸潤性乳管癌組織67例について、免疫化学組織染色法を用いて、Notch経路の活性化をNotch4の核内移行率を指標に検討した。Notch経路が活性化すると、転写因子Notch4が核内へ移行するためである。核内移行率50%以上を高発現グループ(HG、14例)、50%未満を低発現グループ(LG、53例)とすると、HGはLGに比べ有意に生存率が低かった(Log-rank Test, p =0.0003)。TN乳癌21例に限った解析でも、母数が少なく有意差はなかったものの、HG(10例)はLG(11例)に比べ生存率が低い傾向であった(Log-rank Test, p =0.096)。また、LG中20.8%(11/53)、HG中71.4%(10/14)がTN乳癌であり、HGで割合が有意に高い(カイ2乗検定p =0.001、オッズ比(OR)=9.55)ことは注目に値する。
したがって、Notch経路、特にNotch4は浸潤性乳管癌において予後不良因子であり、治療標的になることが示された。さらに、治療標的のないTN乳癌にあって、新たな予後因子、治療標的の可能性を示すことに成功した。したがって、今後はin vitroのレベルでNotch4の果たす役割を解明していく方針である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度の研究実施計画は、組織レベルにおけるNotch経路、特にNotch4の活性化を定量的に解析、さらに病理学的因子との関連を解析し治療対象となる乳癌症例の頻度を算定し、治療対象としての可能性を検証することである。手術摘出浸潤性乳管癌組織67例を検討し、免疫化学組織染色法を用いて視覚化、半定量化を達成した。
計画における半定量的三重傾向免疫組織染色法については、現在改良を継続しており、乳癌組織における乳癌幹細胞分画(CD44+CD24-細胞)の存在およびNotchシグナル関連分子の発現解析は次年度に継続する方針である。
しかし、計画以上に進展しているとは言えず、「おおむね良好に進展している」とした。

今後の研究の推進方策

今後は、平成25年度に得られた結果を基にして、乳癌細胞株を用いて細胞レベルにおけるNotch経路の発癌・癌進展への関与を解析する。さらに、免疫不全マウスの系を用いて、動物レベルにおける治療および予防効果を検証する。
近年、遺伝性乳癌・卵巣癌症候群に対する関心が高まっている。特にBRCA1変異のある乳癌の70%はトリプルネガティブ乳癌とされ、なおかつ若年性である。早急な対応を必要とされる理由である。こうした臨床的ニーズに呼応してくことも課題のひとつである。
そのため、MLPA(Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification, FALCO Biosystems社)キットを用いてBRCA1nessを評価することを検討している。BRCA1nessが高い場合、カルボプラチンなどプラチナ系薬剤の効果が高いことが分かっている。Notch4とBRCA1との関係を検証し、Translational researchを組み込んだ臨床試験を検討する方針である。

次年度の研究費の使用計画

学会出席などの旅費やその他の経費の使用が少なかったため。
次年度には、MLPA(Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification, FALCO Biosystems社)キットを用いたBRCA1nessの検討など新たな課題が検討されており、充当する計画である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] NOTCH4 is a potential therapeutic target for triple-negative breast cancer.2014

    • 著者名/発表者名
      Nagamatsu I, Onishi H, Matsushita S, Kubo M, Kai M, Imaizumi A, Nakano K, Hattori M, Oda Y, Tanaka M, Katano M.
    • 雑誌名

      Anticancer Res.

      巻: 34(1) ページ: 69-80

    • 査読あり
  • [学会発表] 乳癌細胞におけるCD24分子発現とHh経路活性化の連関の解析2013

    • 著者名/発表者名
      巣山 久実、大西 秀哉、甲斐 昌也、田中 晴生、久保 真、永松 伊織、今泉 晃、田中 雅夫、片野 光男
    • 学会等名
      第26回日本バイオセラピィ学会学術集会
    • 発表場所
      いわて県民情報交流センターアイーナ(盛岡市)
    • 年月日
      20131205-20131206
  • [学会発表] トリプルネガティブ乳癌に対する新たな治療標的の同定:Notchシグナル系2013

    • 著者名/発表者名
      永松 伊織、甲斐 昌也、松下 章次郎、大西 秀哉、久保 真、中野 賢二、田中 雅夫、片野 光男
    • 学会等名
      第26回日本バイオセラピィ学会学術集会
    • 発表場所
      いわて県民情報交流センターアイーナ(盛岡市)
    • 年月日
      20131205-20131206

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公開日: 2015-05-28  

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