研究概要 |
平成25年度は、同一腫瘍から樹立しEMTのモデルとして有望と考えられた細胞株OCUT-1CとOCUT-1F、および臨床検体でのEMTマーカーの発現を中心に検討した。また、新たな細胞株のクローニングを進めた。 OCUT-1Cの倍加時間は約22時間と、OCUT-1Fの14.5時間に比べて遅かった。浸潤能では、双方に差を認めなかった。Conditioned medium中のG-CSFはOCUT-1Cでは感度以下、OCUT-1Fでは10,000 pg/mlと高濃度に検出。VEGFはOCUT-1Cで1,160 pg/ml、OCUT-1Fで6,160 pg/mlと、両細胞で高濃度に検出。Nestin, VEGF, Her-2, c-kitは、切除標本では発現を認めず、Fironectin, N-Cadherinの組織発現が認められた。細胞株での発現は、手術標本と異なった結果が得られており、再検中である。OCUT-1CとFにはE-Cadherinの発現に大きな差異がみられ、promoter領域の異常メチル化の関与が考えられmethylation specific PCR 法で検討したが、双方ともにE-Cadherin遺伝子の異常メチル化は確認できなかった。 網羅的プロテオーム、メチル化解析のデータを得ることができ、いくつかの蛋白についてOCUT-1CとFの間で明らかな発現量、メチル化状態の差異が認められている。現在解析中。 甲状腺未分化癌の手術標本を用いた免疫組織学的検討から、併存する分化癌部分では有意に高率なE-Cadherinの発現が認められ、Vimentin, Fironectin, N-Cadherin, VEGF, Her-2の発現には差がなかった。 これまでに加え4種の未分化癌細胞を新規にクローニングし、遺伝子変異、染色体分析を終えた。
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