研究課題
意義と目的:羊膜は抗炎症・瘢痕作用や組織再生誘導作用などの特性を有し、近年優れた再生医療材料として注目されている。しかしヒト由来組織のため感染症や拒絶反応の問題を有し、また人工的な加工や3次元的な使用もできない。そこで我々は羊膜の特性を持ち加工性に優れたより安全で機能的な再生医療材料を作製、その臨床応用例とし皮膚欠損創に対する足場材料や、腹部手術の損傷腹膜の修復再生を行う癒着防止材として用いるための基礎的検討を動物モデルを用いて行う。方法:アルカリ処理や酵素処理コラーゲンおよびその混合からスポンジ材、またアルカリ処理や酸処理ゼラチン・その混合から薄膜を作製、これらに羊膜幹細胞の培養上清液(conditioned medium:CM)を含浸し、それぞれ足場機能や癒着防止機能を評価する特に本研究においてはCM含有ゼラチン薄膜に対し、In vitro実験やラット癒着モデルでの癒着防止実験にて腹膜の癒着形成度や修復再生度を調べ、組織再生を伴う癒着防止材としての効果・機能の評価を行った。結果:前年度より、妊娠ラットから羊膜を採取し羊膜幹細胞を単離培養し、幹細胞markerの発現をflow cytometryや蛍光免疫染色等にて確認した上でCMを採取した。腹膜中皮細胞を用いたIn vitro実験にてCMは5-10倍程度に濃縮を行ったものがより効果を得られることが分かった。またCMをゼラチン薄膜に含浸しラット癒着モデルを用いて予備実験を行ったところ、CM含浸後freeze dryを行ったものが最も癒着防止効果が高いことが分かった。さらにCM含浸したアルカリ処理や酸処理ゼラチンまた両者を混合した薄膜上にて腹膜中皮細胞の培養実験を行い最適な混合比を求めた。最終的にfreeze dryゼラチン薄膜にCM含浸し、ラット癒着モデルを用いて癒着防止実験を行ったところ、より良好な癒着防止効果を得ることができた。
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