SREBP発現における十二指腸空腸バイパスの意義ーNAFLD治療の新たな選択肢ー

2014 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 25462011
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 内藤 剛 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50291258)
• 研究分担者: 柴田 近 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (30270804) ; 田中 直樹 東北大学, 大学病院, 助教 (60547404)
• 研究期間 (年度): 2013-04-01 – 2016-03-31
• キーワード: 十二指腸空腸バイパス術 / SREBP / NASH / 胆汁酸 / FXR

研究実績の概要

本研究ではラットを用いてNASH モデルを作製し，これに対しmetabolic surgery を施行してNASH 改善効果を検証することを目的としている。
これまでにSDラットを用いてメタボリックシンドロームに伴うNASHの病態を再現するため、高フルク
トース，高脂肪，高コレステロール食 = NASH dietを12週間摂食させ、病理学的にNASHと診断できるモデルの作成に成功した。このモデルに対して十二指腸空腸バイパス術を行ったところ、コントロール群に比して有意に肝重量の減少を認め、さらにAST, ALT値の改善を認めた。また病理組織学的にも肝の繊維化の改善が見られ、十二指腸空腸バイパス術でNASH改善効果があることが認められた。また近年、減量手術後に胆汁酸の増加が見られ、このことが減量効果、糖尿病改善効果に大きな影響を及ぼすことが示唆されているが、本研究でも胆汁酸の増加が認められている。胆汁酸増加は核内レセプターであるFXRを介してさまざまな物質の発現を調節しているが、その中にSREBPも含まれる。今後胆汁酸の推移と組成変化も含めてSREBPを含めたさまざまな代謝調節因子の変化をRT-PCRなどで検証していく予定である。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までにラットにおいて食事誘発性NASHモデルの作成ができたこと。また十二指腸空腸バイパス術施行群において、肝重量の改善、血清AST, ALTの改善、病理学的所見の改善を確認していること。さらにそれらのモデルの血液、肝組織の採取に成功し、保存できていること。

今後の研究の推進方策

今後胆汁酸の推移と組成変化も含めてSREBPを含めたさまざまな代謝調節因子の変化をRT-PCRなどで検証していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究分担者、柴田近先生に平成26年度の分担金として100,000円を配分していたが、平成27年度は配分額がないため、平成26年度の配分額から38.300円を繰り越した。

次年度使用額の使用計画

学会参加のための旅費として使用予定。

研究成果

• [学会発表] 食事誘発性NASHモデルラットにおける十二指腸空腸バイパス手術のNASH改善効果の検討 (2015)
  • 著者名/発表者名: 土屋堯裕、長尾宗紀、田中直樹、渡辺和宏、宮地智洋、河野えみ子、小野智之、岡田恭穂、林 洋毅、坂田直昭、大沼 忍、森川孝則、中川 圭、武者宏昭、吉田 寛、元井冬彦、片寄 友、内藤 剛、海野倫明
  • 学会等名: 第101回日本消化器病学会総会
  • 発表場所: 仙台、仙台国際センター
  • 年月日: 2015-04-23 – 2015-04-25
• [学会発表] The effectiveness of duodeno-jejunal bypass for nonalcoholic steatohepatitis (NASH) in diet-induced rat model of NASH (2014)
  • 著者名/発表者名: Takahiro Tsuchiya, Munenori Nagao, Naoki Tanaka, Hiroyuki Sasaki, Tomohiro Miyachi,, Emiko Kono, Akihiro Musha, Takanori Morikawa, Tomoya Abe, Shinobu Ohnuma, Katsuyoshi Kudo, Hideaki Karasawa, Takeshi Aoki, Kei Nakagawa, Hiroshi Yoshida, Fuyuhiko Motoi, Yu Katayose, Takeshi Naitoh, Michiaki Unno
  • 学会等名: International Federation for the Surgery of Obesity and Metabolic Disorders (IFSO) World Congress 2014
  • 発表場所: Monreal, Canada
  • 年月日: 2014-08-27 – 2014-08-30