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2014 年度 実施状況報告書

次世代シーケンサーを用いた胃がんミュータノーム解析と個別化がんワクチンの開発

研究課題

研究課題/領域番号 25462014
研究機関東京大学

研究代表者

和田 郁雄  東京大学, 医学部附属病院, 届出診療医 (80401082)

研究分担者 瀬戸 泰之  東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00260498)
垣見 和宏  東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80273358)
松下 博和  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80597782)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード胃癌 / 次世代シーケンス / エクソームシーケンス / ミスセンス変異 / 変異ペプチド / 固有抗原 / MHCクラスI結合予測法 / アフィニティ
研究実績の概要

本研究の目的は、個々の胃がん患者に対する免疫原性の高い固有抗原を用いた強力な個別化がん免疫治療を開発することである。胃癌の組織からDNAとRNAを抽出し、次世代シーケンスとMHCクラスI結合予測法を用いて、胃がん患者から免疫原性の強い固有抗原の同定を行う。
東京大学医学部遺伝子解析研究倫理審査委員会と墨東病院倫理委員会において、本研究の承認を得て、胃がん患者の検体を採取し保存してきた。これまで、12例の胃がん患者のがん部と非がん部の組織と末梢血を採取し保存できた。また12例中9例で腫瘍浸潤リンパ球を凍結保存できた。
ヒト胃がんのサンプルを収集する間、ヒト胃がんの研究に先立ち、マウスの胃がん細胞株を用いて本研究システムの検証実験を行ってきた。胃がん細胞株とC57BL/6マウスの正常腺胃からDNAを抽出し、全エクソームシーケンスを実施した。胃がん細胞と正常を比較することで腫瘍特異的なミスセンス変異を同定し、そのミスセンス変異由来の固有抗原をMHCクラスI結合予測法で予測した。胃がんを拒絶したC57BL/6マウス脾細胞から樹立した細胞傷害性T細胞(CTL)が、予測した抗原を認識し反応するかを検証し固有抗原を同定した。このように、マウスモデルにおいて、MHCクラスI 結合予測アルゴリズムで予測した抗原が実際に免疫反応を起こしていることを検証することができた。このマウスモデルで構築した固有抗原同定システムを用いて、ヒト胃がんからの固有抗原の同定を試みている。これまで腫瘍細胞と腫瘍浸潤リンパ球がしっかり保存されている5検体で次世代シーケンスを行った。今後は組織のがん部と非がん部(あるいはPBMC)を比較して、ミスセンス変異を同定し、固有抗原を予測し、保存してある腫瘍浸潤リンパ球で抗原に対する免疫反応を検証する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画書では、本年度の計画は、次世代シーケンサーを用いて胃がんのがん部と非がん部(あるいはPBMC)の全エクソームシーケンスとRNAシーケンスを行いミスセンス変異を同定し、MHCクラスI 結合予測アルゴリズムで固有抗原を予測することと、そして、予測した固有抗原が免疫原性をもつかの検証を行うことであった。予測した抗原が免疫原性を持つかどうかの検証を行うため、手術ごとに腫瘍浸潤リンパ球をしっかり保存してきた。そして、腫瘍細胞と腫瘍浸潤リンパ球がしっかり保存されている5検体を用いて次世代シーケンスを行った。データをすみやかに解析し、ミスセンス変異を検出し、固有抗原の候補を選出する。そして、腫瘍浸潤リンパ球を用いて、固有抗原の同定を行うが、すでにマウスで固有抗原の同定システムを構築することができたので、このシステムを用いて、ヒト胃がん検体5例においても固有抗原を同定していく。
以上のごとく、本研究はおおむね順調にすすんでいる。

今後の研究の推進方策

平成27年度の計画は、固有抗原を用いた個別化がん免疫治療のデザインである。
胃がん5検体のシーケンスのデータを解析し、ミスセンス変異を検出し、固有抗原の候補を選ぶ。そして、腫瘍浸潤リンパ球と反応性をみることで、固有抗原の同定を行うが、すでにマウスで固有抗原の同定システムを構築しているので、このシステムを用いて、ヒト胃がん検体5例においても速やかに固有抗原が同定可能と思われる。
そして、最終的に、胃がん検体5例において腫瘍特異的なミスセンス変異由来の患者固有の変異ペプチドが1例の胃がんでどれくらいあり、さらにその中でMHCクラスI結合予測法によるaffinity value が高いものが何個あり、そのうちいくつの変異ペプチドが免疫原性をもっているか、そしていくつの変異ペプチドを使った免疫治療が可能であるかなどを5例の胃がんで検討する。このような基礎的データを集め、将来の固有抗原を用いた個別化がん免疫治療に備える。

次年度使用額が生じた理由

本年度は組織のがん部と非がん部(あるいはPBMC)を比較して、ミスセンス変異を同定し、固有抗原を予測し、保存してある腫瘍浸潤リンパ球で抗原に対する免疫反応を検証し、固有抗原を用いた個別化がん免疫治療のデザインを行う予定である。すでにマウスで固有抗原の同定システムを構築しているので、このシステムを用いて、ヒト胃がん検体5例においても速やかに固有抗原が同定可能と思われる。この研究の費用として、次年度の使用を認めていただきたい。

次年度使用額の使用計画

胃がん検体5例において腫瘍特異的なミスセンス変異由来の患者固有の変異ペプチドが1例の胃がんでどれくらいあり、さらにその中でMHCクラスI結合予測法によるaffinity value が高いものが何個あり、そのうちいくつの変異ペプチドが免疫原性をもっているか、そしていくつの変異ペプチドを使った免疫治療が可能であるかなどを5例の胃がんで検討する。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A pilot study of autologous tumor lysate-loaded dendritic cell vaccination combined with sunitinib for metastatic renal cell carcinoma.2014

    • 著者名/発表者名
      Matsushita H, Enomoto Y, Kume H, Nakagawa T, Fukuhara H, Suzuki M, Fujimura T, Homma Y, Kakimi K.
    • 雑誌名

      J Immunother Cancer.

      巻: 2 ページ: 30

    • DOI

      10.1186/s40425-014-0030-4.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Intraperitoneal injection of in vitro expanded Vγ9Vδ2 T cells together with zoledronate for the treatment of malignant ascites due to gastric cancer.2014

    • 著者名/発表者名
      Wada I, Matsushita H, Noji S, Mori K, Yamashita H, Nomura S, Shimizu N, Seto Y, Kakimi K.
    • 雑誌名

      Cancer Med.

      巻: 3 ページ: 362-375

    • DOI

      10.1002/cam4.196.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Vaccination with NY-ESO-1 overlapping peptides mixed with Picibanil OK-432 and montanide ISA-51 in patients with cancers expressing the NY-ESO-1 antigen.2014

    • 著者名/発表者名
      Wada H, Isobe M, Kakimi K, Mizote Y, Eikawa S, Sato E, Takigawa N, Kiura K,Tsuji K, Iwatsuki K, Yamasaki M, Miyata H, Matsushita H, Udono H, Seto Y, Yamada K, Nishikawa H, Pan L, Venhaus R, Oka M, Doki Y, Nakayama E.
    • 雑誌名

      J Immunother.

      巻: 37 ページ: 84-92

    • DOI

      10.1097/CJI.0000000000000017.

    • 査読あり
  • [学会発表] CTL治療における腫瘍内免疫応答の解析2015

    • 著者名/発表者名
      垣見和宏
    • 学会等名
      第12回日本免疫治療学研究会学術集会
    • 発表場所
      東京ガーデンパレス(東京都文京区)
    • 年月日
      2015-02-18
  • [学会発表] Autologous tumor lysate-loaded dendritic cell vaccination combined with Sunitinib for metastatic renal cell carcinoma2014

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiro Kakimi, Hirokazu Matsushita, Yutaka Enomoto, Tohru Nakagawa, Haruki Kume and Yukio Honma
    • 学会等名
      SITC (Society for immunotherapy of Cancer) 2014
    • 発表場所
      Gaylord National Hotel & Convention Center, National Harbor, MD, USA
    • 年月日
      2014-11-07 – 2014-11-09
  • [学会発表] 食道がんに対するDCF療法と活性化自己γδT細胞治療の併用による治療効果の検討2014

    • 著者名/発表者名
      森和彦、松下博和、平野康介、山田和彦、山下裕玄、野村幸代、瀬戸泰之、垣見和宏
    • 学会等名
      第52回日本癌治療学会学術集会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2014-08-29
  • [学会発表] γδT細胞を用いたがん免疫細胞治療におけるTIM-3とGalectin-9の相互作用2014

    • 著者名/発表者名
      神原佳織、藤枝奈緒、大平公亮、近藤篤、近藤真、泉謙道、高橋卓也、松下博和、和田郁雄、瀬戸泰之、垣見和宏
    • 学会等名
      第18回日本がん免疫学会総会
    • 発表場所
      ひめぎんホール(愛媛県松山市)
    • 年月日
      2014-07-31
  • [学会発表] TCRディープシーケンスによるNY-ESO-1特異的T細胞のモニタリング2014

    • 著者名/発表者名
      垣見和宏、榮川伸吾、磯辺みどり、松下博和、宮井まなみ、細井亮宏、藤枝奈緒、鵜殿平一郎、上中明子、中山睿一
    • 学会等名
      第18回日本がん免疫学会総会
    • 発表場所
      ひめぎんホール(愛媛県松山市)
    • 年月日
      2014-07-31
  • [学会発表] 腫瘍内の免疫抑制性環境の制御による腫瘍特異的CTL移入治療の増強2014

    • 著者名/発表者名
      細井亮宏、平野康介、松下博和、瀬戸泰之、前川隆司、垣見和宏
    • 学会等名
      第18回日本がん免疫学会総会
    • 発表場所
      ひめぎんホール(愛媛県松山市)
    • 年月日
      2014-07-31
  • [学会発表] Development of γδ T cell-based cancer immunotherapy2014

    • 著者名/発表者名
      垣見和宏
    • 学会等名
      第18回日本がん免疫学会総会
    • 発表場所
      ひめぎんホール(愛媛県松山市)
    • 年月日
      2014-07-31
    • 招待講演
  • [学会発表] がん免疫治療新時代に向けて2014

    • 著者名/発表者名
      垣見和宏
    • 学会等名
      平成26年度沖縄県委託事業「先端医療産業開発拠点形成事業」
    • 発表場所
      琉球大学(沖縄県中頭郡西原町)
    • 年月日
      2014-05-26
    • 招待講演
  • [備考] 免疫細胞治療学研究室のHP

    • URL

      http://immunoth.umin.jp/result/index_03.html

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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