研究課題/領域番号 |
25462015
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
伏田 幸夫 金沢大学, 大学病院, 講師 (10301194)
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研究分担者 |
原田 真市 金沢大学, 医学系, 助教 (90272955)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 腫瘍関連マクロファージ / 胃癌腹膜播種 / 癌性腹水 / α1酸性糖蛋白 (AGP) / パクリタキセル |
研究概要 |
①癌性腹膜炎患者におけるα1-acid glucoprotein (AGP)濃度の検討したところ、健常ボランティアから採取した血清中AGP値に比し、胃癌患者のそれは有意に高値であり、腹水中のAGP値も834μg/mlと高値であった。 ②パクリタキセル通常臨床使用量80mg/m2を静脈投与した際の腹水中の濃度は0.01μMであることが知られているので、この濃度における胃癌細胞株OCUM2MD3に対する殺細胞効果を検討したところ、AGP添加において濃度依存性に殺細胞効果は減弱した。 ③ステージI, II患者の腹腔洗浄液中(コントロール)にはほとんどマクロファージは存在しないが、癌性腹水中には大量のマクロファージが存在した。また、コントロールに比し癌性腹水中には有意に高率にM2マクロファージが存在し、癌性腹膜炎の病態にM2マクロファージが関与している可能性が示唆された。 ④健常人から採取した末梢血から単球を分離し、サイトカイン (GM-CSF, LPS, IFN-γ)投与によってM1マクロファージにを作成した後、胃癌細胞株MKN45, TMK1とそれぞれ共培養したところ、いづれにおいてもM1マクロファージはM2マクロファージ表面抗原であるCD163を発現し転写因子であるStat3が活性化された。以上から、胃癌細胞との共培養によって、M1マクロファージはM2マクロファージへ形質転換することが証明された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
大学院生が2名担当し、実験補助員も1人充当可能であったことなど、研究環境整備が充実していたため 当初の仮説通りの実験結果を求めることができたため
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今後の研究の推進方策 |
AGPによるパクリタキセルの抗腫瘍効果減弱作用をin vitroで証明できたため、今後はin vivoにおけるエリスロマイシンによる減弱作用の解除を証明する予定である。 また、癌性腹水内のマクロファージのサブタイプおよび各種サイトカイン産生能についての解析に続き、抗がん剤治療に伴う腹水中のマクロファージのサブタイプやサイトカイン産生能の変化(推移)について検討する。 さらに、THP細胞株を用いてM2マクロファージを誘導し、胃がん細胞との共培養による癌細胞に及ぼす形質変化の詳細を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
効率的な執行により端数が生じ、次年度使用額(繰越金)となった。 次年度助成金とあわせて、試薬、小動物、等々、実験計画に基づいた使用を心がけます。
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