胃食道逆流症(GERD)に代表される消化液の逆流による慢性炎症が食道癌発生の大きな原因の一つである。発癌機序に関しては組織学的にInflammation-Metaplasia-Adenocarcinoma sequenceによることが解明されているが、本研究では腫瘍微小環境の変化を浸潤細胞の観点から検討した。GERDにより炎症初期には食道粘膜にpStat3の活性化と汎マクロファージが誘導される。炎症の持続とともに腫瘍関連(M2型)マクロファージや調節性T細胞が誘導され、癌の微小環境が形成される。以上より発癌の抑制あるいは癌治療にはこれら癌微小環境を改変させる工夫が重要である。
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