研究課題/領域番号 |
25462021
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
田邊 俊介 岡山大学, 大学病院, 助教 (20534770)
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研究分担者 |
香川 俊輔 岡山大学, 大学病院, 講師 (00362971)
尾山 貴徳 岡山大学, 大学病院, 助教 (10380164)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 近赤外光線免疫療法 / 消化器癌 / アデノウイルス / HER2 |
研究概要 |
抗癌剤である抗体医薬品をドラッグデリバリーシステムとして利用し、光感受性物質を特定の抗原を発現する癌細胞へ運び近赤外線照射により殺細胞効果を発揮する近赤外光線免疫療法、Photoimmunotherapy(以下PIT)が最近報告されたが、アデノウイルスベクターによる遺伝子導入技術を応用して、抗原陰性細胞へも標的抗原を強制発現させることで、その適応を拡大する試みが本研究の目的である。 まず、抗体医薬品としてTrastuzumabに光感受性物質IR700を結合させたTra-IR700の作成を行った。当初収量が少なかったTra-IR700は作成する工程の改善により、最終収量を増加させることに成功した。 HER2陰性MDA-MB-231乳癌細胞へHER2の細胞外ドメイン蛋白を発現させるAd-HER2-ECDを感染させ、HER2蛋白質が発現されることを、フローサイトメトリー、蛍光免疫染色、並びにウエスタンブロットで確認した。HER2陰性の胃癌細胞のMKN-45細胞においても同様にAd-HER2-ECD HER2蛋白質の導入が可能であることを確認した。 近赤外線照射の照射システムの構築と、光エネルギーのVitroでの各種Dishでの測定法を確立し、PITの実験系が一定の条件で繰り返し有効に作動させることに成功した。HER2陰性胃癌、乳癌細胞にはTra-IR700を用いたPITは殺細胞効果を示すことなく、HER2陽性癌細胞にのみ効果を発揮することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に計画していた内容については、上記の実績概要のとおりで、trastuzumab と IR700 の結合物を作製、近赤外線照射装置を用いて光照射の実験ができるシステムの構築、アデノウイルスベクターの感染実験など、実験遂行のための基盤が確認できた状況でいる。まずは細胞株を用いた実験系が確立できたことで初年度の目的はおおむね達成出きている。
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今後の研究の推進方策 |
ひきつづき、胃癌細胞株を用いたin vitroでの実験データを蓄積し、アデノウイルスベクターによるHER2の細胞外蛋白発現とPITの有効性を確認していく。 マウスでHER2陰性の担癌モデルを作製し、そのモデルにおいても、HER2-ECDの強制発現によりPITが有効に作用するかどうか、検証実験を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験に使用する化合物(Trastuzumab-IR700等)や装置には自作のものも含んでおり、その収量や品質によって、実験における材料の経費が多少左右される。比較的順調に材料の準備ができたことで、経費が軽減されたため。 今後行う実験でも想定外の結果に遭遇することは十分予想され、その場合には検証する細胞株の種類を増やしたり、マウス実験を繰り返し検証する必要がある。それらで使用する試薬類の購入等に繰り越した研究費を使用する。
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