研究課題/領域番号 |
25462026
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
池田 貯 佐賀大学, 医学部, 講師 (70523124)
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研究分担者 |
北島 吉彦 佐賀大学, 医学部, 研究員 (30234256)
中村 淳 佐賀大学, 医学部, 助教 (60404175)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 胃癌 / 腹膜播種 / HIF-1a / 低酸素環境 / リンパ管新生 / ANGPTNL4 / LOXL2 |
研究概要 |
研究代表者らは、HIF-1α発現を欠失させたスキルス胃癌細胞株58As9KDを樹立し、マウス同所移植・腹腔内注入モデルを用い、胃癌腹膜播種成立におけるHIF-1αの重要性を証明し、さらに脈管系を介する新たな腹膜播種形成機序を示した。本研究は①スキルス胃癌株58As9および44As3株において、胃癌原発巣のリンパ管新生・浸潤を亢進させ、腹膜播種形成を促進するHIF-1α下流遺伝子を同定する。②HIF-1α阻害薬を用いた胃癌腹膜播種治療モデルを確立する③マウスES細胞との共培養による胃癌の腫瘍新生脈管誘導系の確立を目的とした。 (平成25年度) ①58As9, 44As3および非スキルス胃癌株MKN45, MKN74をヌードマウス胃に同所性移植し、胃癌組織を形成させた。約28日目までに犠牲死させ、胃癌組織をリンパ管マーカーLYVE-1にて免疫染色し、原発胃癌内でのリンパ管新生・浸潤を比較検討した。その結果、スキルス胃癌株58As9, 44As3は、MKN45, MKN74移植胃癌に比し、著明な腫瘍周囲のリンパ管新生・浸潤がみられた。この結果は、スキルス胃癌の腹膜播種形成がリンパ管新生に引き続く癌細胞のリンパ管浸潤を契機に惹起される経リンパ管経由の遠隔転移である可能性を示唆した。さらに、発現マイクロアレイ解析にて58As9, 44As3においてMKN45, MKN74には発現がみられない低酸素誘導遺伝子ANGPTNL4およびLOXL2を抽出した。いずれも分泌因子であり、ANGPTNL4は癌浸潤能亢進作用が、LOXL2は細胞外マトリックス改築機能が報告されており、スキルス胃癌の原発巣におけるリンパ管浸潤を亢進させる候補遺伝子である可能性が示唆された。現在、ANGPTNL4およびLOXL2の機能解析のため、特異抗体の選出さらにsiRNAによるノックダウン解析系を確立している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヌードマウス同所性移植にて腹膜播種を形成する2種類の細胞株58As9, 44As3において移植胃癌組織内のリンパ管新生、リンパ管浸潤が亢進されることを証明することができた。さらに、発現マイクロアレイ解析においてリンパ管浸潤能を亢進させる可能性のあるHIF-1a下流遺伝子候補ANGPTNL4, LOXL2遺伝子を選出することができた。
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今後の研究の推進方策 |
【平成26年度】①ANGPTNL4, LOXL2遺伝子のリンパ管浸潤能をsiRNA導入法を用いて、in vitroさらにはin vivo(ヌードマウス移植)にて解析・証明する。 ②ES細胞 + スキルス胃癌細胞の共培養によって、癌細胞におけるHIF-1α発現→ES細胞のリンパ管への分化誘導能を解析・検討する。 【平成27年度】①ANGPTNL4, LOXL2の中和抗体が、ヌードマウスでの腹膜播種形成を抑制するかにつき、解析・検討する。②ANGPTNL4, LOXL2の中和抗体がES細胞のリンパ管への分化誘導能を抑制するかにつき、解析・検討する。
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