研究課題
第一世代、第二世代PPARγ agonistはいずれもIn vivoで抗腫瘍効果を示さなかったが、第三世代PPARγ agonistは、In vivoにおいて抗腫瘍効果を示した。PPARγ agonistはp21の転写活性には影響せず、Akt Ser473、p21 Thr145の脱リン酸化、p21の核内蛋白発現の有意な増加、Ki67の蛋白の発現の有意に減少した。第三世代PPARγ agonistの投与によりEGFRのリン酸化を認めたが、cetuximabの併用投与で、EGFR、MAPKの活性化が阻害され、相乗効果を示した。EGFR下流シグナルの阻害剤であるAKT inhibitor及びMEK inhibitorはいずれも新規PPARγ agonistとの併用にて十分な併用効果は得られなかった。臨床試験ではPPARγ agonistの感受性規定因子として、PPARγ及びRXRγの発現が高い症例は抗腫瘍効果が高いと報告された。RXRγにおいて食道扁平上皮癌の臨床検体145例に抗RXRγ抗体を用いた免疫染色にて正常上皮においてPPARγは、有棘層から発現を認めたが、RXRγは全層に発現を認めた。30%以上の核に染色を認める症例を陽性とすると、食道扁平上皮癌におけるRXRγの陽性率は、37.2%(PPARγの陽性率は、24.6%)であった。PPARγの発現は、食道扁平上皮癌における独立予後因子であったが、RXRγの発現は、PPARγの発現とは相関せず、予後との関連は認めなかった。PPARγに関しては、In vitroにおいて、siRNAを用いPPARγの蛋白発現を低下させることで、PPARγ agonistの抗腫瘍効果、AKTの脱リン酸化が減弱し、PPARγの発現がPPARγ agonistの効果予測因子となりうることを明らかにした。本研究より、新規PPARγ agonistの食道扁平上皮癌に対する臨床応用の可能性、PPARγ agonistとcetuximab併用効果、及びPPARγ agonistの効果予測因子が明らかとなった。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
Ann Surg Oncol
巻: 22(13) ページ: 4352
10.1245/s10434-015-4427-1
World J Surg
巻: 40(1) ページ: 142-7
10.1007/s00268-015-3236-9.
J Cancer Metastasis Treat
巻: 1 ページ: 172-82
10.4103/2394-4722.165533