研究課題
本研究は、消化器癌における腹腔内への遊離癌細胞(Disseminated Tumor Cell: DTC)の検出と循環癌細胞(Circulating Tumor Cells = CTC)との関係から腹膜播種機構を明らかにし、非侵襲的診断法の確立を行う。また、DTCおよびCTCを効率的に回収し異種間移植を行い、抗癌剤感受性試験および生物学的悪性度や特性を明らかにし、外科治療および化学療法を中心とした癌治療の個別化を図ることである。腹膜播種機構およびCTCの関連を動物モデルにて検証を行っている。免疫不全マウスであるNOGマウスと胃癌細胞株(KatoIII)を用いた。腹腔内に癌細胞を投与し、1、3、7日目で腹腔内観察および腹腔洗浄水の細胞診、RT-PCR診断を行い血液中のCTC評価を行った。肉眼的腹膜播種形成には2週以上を要したが、投与翌日より血中にCTCが確認され、経時的に増加傾向で検出されることが確認した。臨床検体では、良性疾患8例、胃癌30例において腹腔鏡下に腹腔洗浄水を採取し、病理診断によるCYとRT-PCRにより検討を行った。RT-PCRはCEA、CK19をプライマーとし術中迅速診断可能なSmartCyclerで検出を行った。CTCはCellSearchにより検出を行った。その結果、良性疾患8例では全例でCEA、CA19ともにRT-PCR陰性であった。P陽性7例中、RT-PCR陽性5例(71.4%)であったが、CTCは全例で陽性であった。CY陽性であった7例でRT-PCR陽性6例(85.7%)が陽性であったが、CTCは全例で陽性であった。P、CY陰性の22例中RT-PCR陽性1例、CTC陽性3例であった。腹腔洗浄水RT-PCRはCYと比較して遜色なく評価が可能で、CTC評価と併せて術前化学療法の適応決定や非侵襲的P、CY診断として有用となる可能性があることを確認している。
2: おおむね順調に進展している
動物実験および臨床検体の採取は予定通りにすすんでおり、積み重ねたうえで解析が必要と考えている。
臨床検体も含めて症例を集積し、EMT markerの発現とその臨床的評価を行うことを予定している。
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