研究課題
本研究は消化器癌における腹腔内への遊離癌細胞(Disseminated Tumor Cell: DTC)と血中循環癌細胞(Circulating Tumor Cell: CTC)の検出を行い、その関係から腹膜播種機構を明らかにし、非侵襲的診断法の確立を行う。またDTCおよびCTCを効率的に回収を行い、異種間移植により抗癌剤感受性試験および生物学的悪性度や腫瘍特性を解析し、外科治療および化学療法を中心とした癌治療の個別化へ発展させることを目的としている。非侵襲的抗癌剤感受性について、CTCによる移植モデル作成が困難であり、内視鏡生検検体での移植モデルを作成した。進行胃癌患者の生検検体を細切し、マトリゲルと混和し免疫不全マウス(NOGマウス)の皮下へ移植した5例中1例(10%)で移植後9週に腫瘍形成が確認された。一方で細切した後に、3時間培地にてインキュベートした後にマトリゲルと混和しNOGマウスの皮下へ移植した4例中3例(75%)で平均10週で腫瘍形成を認めた。腹腔洗浄水の臨床検体では、良性疾患8例と進行膵臓癌患者88例において病理診断による細胞診診断とCEA、Cytokeratin19をプライマーとしたRT-PCR法による診断、および血中でのCTC検出を行った。腹膜播種症例9例、腹腔洗浄細胞診陽性11例を含む対象であり、腹膜播種症例の8例(88.9%)、腹腔洗浄細胞診陽性の9例(81.8%)でRT-PCR陽性であり、高感度に検出可能であることが確認された。進行胃癌30例においては、血中でのCTC検出と併せて行った。腹膜播種陽性例7例中全例でCTCが検出され、RT-PCRにて5例(71.4%)が陽性であった。腹腔洗浄細胞診陽性であった7例中RT-PCR陽性は6例(85.7%)で、CTCは全例で陽性であった。腹膜播種、腹腔洗浄細胞診ともに陰性であった22例中RT-PCR陽性1例、CTC陽性3例であった。CTC診断により非侵襲的な腹膜播種予測ができる可能性がある。
すべて 2015
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Ann Surg Oncol
巻: 22 ページ: 3674-3680
10.1245/s10434-015-4392-8