研究概要 |
RUNX3はTGFβ依存性アポプトーシスに重要な役割を果たしており、放射線化学療法の感受性に関与していることが明らかになった (Oncogene, Sakakura et al., 2007)。また我々はRUNX3ノックアウトマウスとAPC ノックアウトマウスの掛け合せにより大腸病変の発生を確認している。大腸癌の発癌シグナル伝達系(Wntシグナル系)とRUNX3-TGFβシグナル伝達系のオーバーラップする分子(TCF4)も同定されており(Cancer Cell, Ito et al, 2009)、今後更なる発展が期待しうる。我々は日立ソフトLuminexシステムにより、多数の検体における複数遺伝子のメチル化を定量的に短時間で測定しうる迅速血清診断システムを確立し、実地臨床に応用可能しつつある。また最近、我々の共同研究者は、肺腺癌の発癌におけるRUNX3の関与とp53シグナルとのクロストークについて報告している(Bae et al., Cancer Cell, 2014)。また近年、米国における乳癌臨床検体における全ゲノムシークエンス解析結果では乳癌におけるRUNXファミリーの高頻度の変異やメチル化、さらにエストロゲンレセプターシグナル伝達系や骨転移への関与が報告されており(Nature 2012, 2013)、乳癌における早期診断や薬剤耐性克服、さらに低分子化合物による治療などにおいて今後更なる発展が期待される。
|