研究課題
リンパ節郭清を含めた癌の根治切除と続いて行われる化学療法により、胃癌をはじめとした消化器癌では予後が改善している。しかしながら、進行癌の30-40%は5年以内に再発するため、再発癌に対する効果的予防および治療法の開発が待たれている。胃癌の主たる再発形式である癌性腹膜炎に対する抗癌剤感受性試験の結果から、「根治手術+術後化学療法」後の癌性腹膜炎には極めて少数の「抗癌剤存在下で生存しうる癌細胞」から形成される「細胞亜集団」が関与していると仮説を立てた。細胞亜集団のモデルとして薬剤寛容性コロニー(Drug Tolerant Colonies, DTCs)を用い、最も使用頻度の高い抗癌剤の1つであるシスプラチン存在時に出現するDTCについて、その生物学的特徴を検討した。シスプラチンに対するDTC形成はRNA polymerase II (RNAPII)阻害剤α-AMAによりほぼ完全に抑制された。また、RNAPIIと複合体を形成し転写制御に関わるTAF15をコードする遺伝子自体が、DTC形成における標的遺伝子の1つであることを確認した。マウス癌性腹膜炎モデルでは、シスプラチンとα-AMAの投与により、シスプラチン単独よりも優位に生存期間が延長した。以上から、RNAPIIを標的とした癌性腹膜炎予防が示唆され、α-AMAが創薬の起点となる化合物であると思われた。
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