研究実績の概要 |
本年度の実績としては、株化細胞の実験を行い、臨床データと併せ考えた結果を publicationした ( Waraya M, Yamashita K, Ema A, Katada N, Kikuchi S, Watanabe M. Exclusive Association of p53 Mutation with Super-High Methylation of Tumor Suppressor Genes in the p53 Pathway in a Unique Gastric Cancer Phenotype. PLoS One. 2015 Oct 8;10(10):e0139902.株化細胞の実験としてはp53 WTである胃癌株化細胞 NUGC4において、epigenetic抑制実験をおこなった。また、p53 変異を有する胃癌株化細胞KATO IIIにおいても同様の実験を行った。NUGC4細胞株では、epigenetic inhibitorが化学療法による apoptosisを増強し、この際に p53タンパクが誘導されていることが確認された。一方、KATO III細胞では p53活性は起こらないにも関わらず、強い apoptosisが認められた。以上の結果から考えると、胃癌においてはp53 経路とp53を介さない経路が apoptosisを誘導する経路としてあることが明らかになった。胃癌組織において、p53経路の不活化が最小限の経路遺伝子の不活化で生じていることが確認されたが、こと化学療法に対する apoptosisの効果については、p53の関連する経路と関連しない経路があり、epigenetic 療法そのものが、重要な癌治療の候補となることが考えられた。
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