食道内視鏡的粘膜下層剥離術後の狭窄抑制効果を目的とした自己口腔粘膜上皮細胞シート移植術による再生医療的治療法の臨床応用の経験を基に、新たに外科手術後の難治性消化管狭窄に対する細胞シート治療を開発することを目的とした。 (1)消化管吻合部狭窄モデルの作製 昨年度報告したように大動物実験用のda Vinci Surgical System Siを使用し、安定した狭窄モデルを作製するためにロボット支援手術による消化管吻合部狭窄モデルの作製を継続した。da Vinci Surgical System Siは、先端が360度回転可能で自由度が高く、従来の腹腔鏡手術では困難な手技が可能で、3次元による正確な画像情報の取得が可能で空間認識が向上した。ロボット支援手術による食道胃吻合を行うことが可能となった。ところが、術後の吻合部狭窄が強く、術後管理が困難であったため、新たな狭窄モデルを作製する必要があった。そこで、胃空腸(Roux-Y)吻合を作製し、粘膜を除去して筋層だけを吻合することで食事摂取可能にも拘わらず吻合部狭窄を作製できるモデルを考案した。実験を行い、胃空腸吻合に狭窄が生じかつ内視鏡的にアプローチしやすい部位に作製することに成功した。 (2)RIC(endoscopic radial incision and cutting) methodによる消化管狭窄部組織の切除 (1)のモデル作製に時間を要しRIC+細胞シートまで行うことができなかった。今後、上記の新しいモデルを用いて細胞シートを用いた狭窄抑制の研究を継続する予定である。
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