研究課題
これまで進行胃癌185例から全血、血清、尿、腫瘍組織、非癌部粘膜を採取しCE-TOFMS法、LC-TOFMS法にてメタボローム解析を実施した。予備的な解析の結果では、腫瘍組織では非癌粘膜に対してlactateの濃度が高く、胃癌においても好気的解糖(Warburg effect)が優位である事が示された。また、分化型癌と未分化型癌では解糖系、エネルギー状態、アミノ酸、還元指標など多くの代謝経路が異なる結果が得られた。今後更に解析症例数を増やして解析を進める事により、転移と関連のある特異的な代謝経路が同定される可能性が高いものと思われる。網羅的miRNA解析に関してはこれまでで上記検体を用いて測定を行っている。結果の解析は今後行う予定である。上記研究と並行して胃癌患者末梢血中のsplicing variantの発現についても解析を進めており、これまで96例の検体についてXIAP-associated factor 1 (XAF1)のsplicing variantの発現について解析し、XAF1 variant発現細胞においてnonsense-mediated mRNA decay (NMD) が抑制されている知見が得られた。また同時に測定したsurvivin (BIRC5)の発現は、disease-ree survivalと有意に関連しており、独立した予後予測因子として選択された。今後、suvivin発現細胞におけるXAF1 variantの発現について解析し、NMD制御との関連について検討する予定である。また、昨年度後半から次世代シークエンサーを用いたエクソーム解析の研究が開始されており、胃癌組織12検体においてwhole-exome sequenciung (WES)を施行した。その結果、全検体でMYC,ERBB2の過剰発現が、幾つかの検体でEGFR、MYCの過剰発現とIKZF1の発現抑制が得られていた。今後WESに関しても全検体に対して実施する予定である。
3: やや遅れている
検体の採取はほぼ予定通りであるが、メタボロームの測定、miRNAの測定、臨床病理学摘因子との関連の解析がやや遅れている。
メタボローム解析に関しては、これまで採取した組織における解析を進める一方で、現在進行中のWESとの関連についても解析して予定である。同様にmiRNAに関しても測定を進めた上で、メタボローム解析やWESの結果との関連、臨床的な意義に関しても解析していく予定である。splicing variantに関する研究も並行して進めていき、健常者との比較、臨床的意義についても検討する予定である。WES研究に関しては更に症例を集積して化解析して予定である。当初予定したメタボローム解析、網羅的miRNA解析に加えてsplicing variant解析、whole-exome sequencingのテータも加えて解析する事が可能となるため、より詳細な検討が可能となるものと思われる。
計画的な執行を心がけていたが、旅費の額が決定するのが年度末になってしまったため、無理に施行せずに繰り越す事とした。メタボローム解析、miRNA解析、splicing variant解析、WES解析に備品や試薬の購入が必要となるため、繰り越した研究費を物品費として使用する予定である。
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