研究課題/領域番号 |
25462052
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
田中 光司 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (10345986)
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研究分担者 |
問山 裕二 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00422824)
井上 靖浩 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (20324535)
内田 恵一 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (30293781)
毛利 靖彦 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70345974)
溝口 明 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90181916)
楠 正人 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50192026)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 二光子励起顕微鏡 / 生体内イメージング / 癌転移巣 / 分子標的薬 |
研究概要 |
二光子励起顕微鏡を用いた癌転移巣微小環境生体内可視化による薬物動態評価法の開発に向けて、分子標的薬である抗体医薬を蛍光標識し、生きた癌細胞に結合するかどうかを確認した。Zenon Alexa Fluor標識キットを用いAlexa Fluor 594を抗EGFR抗体または抗c-MET抗体に結合させた後、in vitroでシャーレ上に生着している大腸癌細胞株(HT29)または胃癌細胞株(NUGC4)に細胞固定を行わない状態で蛍光標識抗体が癌細胞に結合し可視化できるかどうかを確認した。HT29 細胞膜上のEGFR、NUGC4細胞膜上のc-METに蛍光標識抗体が結合することを蛍光顕微鏡下で観察できた。以上より、Zenon Alexa Fluor標識蛍光抗体は生きた癌細胞上の抗原に結合することが確認でき、生体内可視化の可能性が示唆された。 GFPヌードマウスに非標識HT29または非標識NUGC4を移植し、大腸癌肝転移モデル及び胃癌腹膜転移モデルを作成した。肝転移巣または腹膜転移巣を創外に脱転し、Organ Stabilizing Systemにて固定。二光子励起顕微鏡を用い600倍~1200倍で転移巣を生体内観察すると、緑色の宿主間質(green mouse)に黒色の癌細胞(非標識細胞)が確認できた。大腿静脈に留置した血管カテーテルより蛍光標識抗EGFR抗体または抗c-MET抗体を静脈内投与すると、癌転移巣内の腫瘍血管内に蛍光標識抗体が確認できた。非標識癌細胞を観察すると、一部の細胞が赤色に標識され、HT29 細胞膜上のEGFR、NUGC4細胞膜上のc-METに蛍光標識抗体が結合することが確認できた。すなわち、二光子励起顕微鏡を用いた癌転移巣の生きた癌細胞における蛍光標識抗体医薬の結合の生体内リアルタイムイメージングに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二光子励起顕微鏡を用いた癌転移巣(肝転移巣または腹膜転移巣)における抗体医薬の薬物動態の生体内可視化を確立した。今後、癌細胞に結合した抗体医薬による抗腫瘍効果の可視化とその定量化法を確立する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
二光子励起顕微鏡を用いた癌転移巣(肝転移巣または腹膜転移巣)における抗体医薬の薬物動態の生体内可視化が可能であることは証明できたが、Zenon Alexa Fluor標識キットによる蛍光標識抗体の生体内での継時的変化や抗体医薬による抗腫瘍効果の可視化が可能かどうかなどを検討していく必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究消耗品使用状況が予定より少なかったため。 研究消耗品費、成果発表のための出張費、論文校正及び投稿費などに使用するが、その状況把握を迅速化する。
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