研究課題
NKT細胞は、そのリガンドであるα-Galactosylceramide(α-Gal)を樹状細胞(dendritic cell ;DC)に付加して投与する方法(DCG療法)により、NK細胞を中心とする自然免疫を発動させ、肺転移モデルに対し強力な抗腫瘍活性を示す。さらに腫瘍抗原の特定の同時投与により獲得免疫系である腫瘍反応性CD8+T細胞及びCD4+細胞が誘導されることが明らかとなった。このDCG療法及び電気的穿孔法(electroporation;EP法)を統合し、腫瘍蛋白抗原を樹状細胞内に導入し、これを用いて抗腫瘍効果・免疫機能の評価を行う予定である。本研究の重要な部分を占めるEP法により自己腫瘍抗原を溶解した蛋白成分を導入した樹状細胞(EP-DC)を免疫細胞療法として投与し、その有用性と安全性を明らかにするものである。現在までに、アロ樹状細胞におるDCG(allogeneic DCG)が肺転移モデルにおける治療の有用性と安全性を報告した。一部の腫瘍株でallogeneic DCGにおいて、抗腫瘍効果の優位性が明らかになった。また、DCG療法における肺転移症例に対するCD40の働きを解析し、これを報告した。また、同時に起こる、DCGによる宿主肝障害についても結果を報告した。現在は、抗原導入DCGの作成に成功し、抗腫瘍効果を生存期間に置き換えて、測定した。しかし、抗原導入DCGとDCGの生存期間の延長は認めなかった。また、抗原導入DCGと抗原導入allogeneic DCGの生存期間にも明らかな延長を認めていないため、よりこの反応を強調した実験系が必要なため、抗原特異的なT細胞移植のシステムを導入することで、抗原導入DCGと抗原導入allogeneic DCGの生存期間を確認し、NKT細胞及びCD8+T細胞の機能を比較する予定である。
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Anticancer Res.
巻: 35 ページ: 4425-4431
消化器外科学レビュー2015-'16
巻: - ページ: 186-190