研究課題
1)ゲノム不安定性の指標として、470 例の大腸癌についてマイクロサテライト不安定性(MSI)を解析し、その臨床病理学的意義を検討した。MSI-H : MSI-L/MSS = 84(18.7%) : 366(81.3%) であった。組織型はMSI-H群において低分化型腺癌27例(6.0%)が多く有意差が認められた(p<0.001)。部位はMSI-H群で右側結腸/左側結腸/直腸=31例(6.8%)/7例(1.5%)/3例(0.7%)、MSI-L/MSS群で90例(19.7%)/221例(48.4%)/104例(22.8%)であり、右側結腸に有意であった(p<0.001)。日本人における散発性大腸癌におけるMSI-Hの特徴は、高/中分化型腺癌?に多く、右側結腸優位であり、リンパ節転移なしの症例が多いことがわかった。2)139例の症例で、p53変異と紡錘体チェックポイント蛋白であるBUBR1の発現との解析を行ったが、BURR1高発現の症例p53の変異を生じているケースが有意に多いことが明らかとなった。今後さらに大腸癌の遺伝子不安定性と治療効果、予後との関係の解析を進める予定である。