研究課題/領域番号 |
25462067
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
長谷川 博俊 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (00218455)
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研究分担者 |
鶴田 雅士 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00348666)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | サーファクタントプロテインd / 炎症性腸疾患 |
研究概要 |
本研究では、Surfactant protein-d (SP-D)と炎症性腸疾患との関連性を明らかにすることを目的とする。まず、 デキストラン硫酸ナトリウム (DSS)を一週間飲料水に混ぜてC57Bl/6の野生マウスに与え、DSS誘発性炎症性腸疾患モデルマウスを作製した。同時に通常の飲料水を与えたマウスをコントロールとした。sacrifice後に、それぞれのマウスより、大腸を摘出し、さらに血液を採取した。SP-Dは主に肺の2型肺胞上皮細胞にて産生され、通常、大腸の粘膜上皮にはほとんど産生されない。そこでまずは、このDSSマウスの腸粘膜において、本当にSP-Dの発現が上昇しているかを免疫組織染色法にて確認することとした。抗SP-D抗体をいくつか購入し、先ずはマウス肺をコントロールに適切な濃度設定を行い、その濃度をもとにDSSマウスおよびコントロールマウスの大腸切片の免疫染色を行った。予想通りDSSマウスの腸粘膜にSP-Dが多く産生されている印象があり、現在その評価を行っている。これと平行して、血中のSP-Dの発現をELISA法にてやはり、DSSマウスとコントロールマウスで比較検討する予定である。仮説では、炎症性腸疾患においては、SP-Dが産生され、さらに腸粘膜血管バリアの破綻により血中に多く漏出することが予想される。さらに、漏出するSP-Dは3量体か多量体かを検出しわけるために抗体のエピトープの異なるものを用意する予定であり、現在これについて検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まずは、炎症性腸疾患においては、腸粘膜に多くのサーファクンタントプロテインd (SP-D)が産生されていることが確認された。現在、SP-Dノックアウトマウスを入手完了しており、DSSを投与し、炎症の変化などを確認していく予定であり、概ね予想された仮説が段階を経て立証されており、また実験計画も順調に進んでいると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
DSS誘発性炎症性腸疾患マウスモデルの血漿中のSP-D値をコントロールマウスと比較し、その上昇および3量体と多量体の比の検討を行う。 SP-DノックアウトマウスにDSSを投与し、局所(大腸)および全身での炎症反応の変化をコントロールマウスと比較する。さらに腸粘膜血管バリアの破綻の程度やあるいは腸内細菌の変化なども検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
マウスの入手において、検疫や入手先の都合により年度末にかかったために、一部の費用が次年度に繰り越しになったため。 上記の理由のためであり、計画通りに使用できると考えている。
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