研究課題
次世代シークエンサー(NGS)を用いて大腸癌リンパ節転移,肝転移に関与する遺伝子を突き止め,既存の診断法,治療法よりも精度の高い医療,臨床応用を確立することを本研究の目的とした.遺伝子の転写開始点を網羅的に解析するCAGE法(cap analysis of gene expression法)が開発され,ヒトの18万を超える転写開始点と,それに由来する転写産物の発現量の網羅的解析がすでに行われている(FANTOM5プロジェクト).本研究ではこの極めて定量性の高いCAGE法を用い,転移を伴う大腸がん症例の癌組織における網羅的発現解析を行った.その結果肝転移の有る症例,無い症例の間で,大腸癌のmRNA 発現に差異を認め,さらに転移群で有意に発現上昇する遺伝子,有意に発現低下がみられる遺伝子群を特定した.リンパ節転移においても同様に大腸癌の転移の有無によるmRNA 発現の有意な差異を確認し,RNA 発現の発現が有意に上昇する遺伝子,低下する遺伝子群を検出した.H27年度には転移マーカー候補遺伝子の検出,絞り込みを進め,とくに肝転移特異的に高発現が見られる遺伝子から,大腸癌転移診断マーカーとして可能性のある遺伝子群を特定した.本研究において特定した遺伝子群のバイオマーカーとしての実用化により,大腸癌のリンパ節転移,肝転移の早期検出が可能になり,新たな診断法,分類,指標開発,創薬への進展が期待できる.
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doi: 10.1053/j.gastro.2014.12.001.
http://www.juntendo.ac.jp/graduate/laboratory/labo/kabusyoukakan/