研究概要 |
大腸癌は本邦において最も増加の著しい癌で年間10万人が発症し、4万人以上が亡くなっている。大腸癌の再発転移は6~7割が肝転移であり、化学療法が進んだ現在でも難治性である。アロマテラピーは植物の有効成分を凝縮した精油を使って行う自然療法として近年急速に普及している。精油成分の1,8 シネオールは殺菌作用が知られており白血病細胞に対するアポトーシス効果が報告されている。本研究では1,8シネオールをはじめとするアロマテラピーで用いられる精油の有効成分を用いて大腸癌に対する画期的な治療法を確立することを目的とする。 平成25年度は1,8シネオールのヒト大腸癌細胞に与える影響について検討した。ヒト大腸癌細胞株RKOとHCT116に対して1,8シネオールを添加すると濃度依存的に殺細胞効果を認めた。さらに1,8シネオールの作用機序をウエスタンブロットにて解析した。1,8シネオールはRKOの抗アポトーシス分子であるAktとsurvivinを抑制し、アポトーシスを促進した。RKOを免疫不全マウスに移植して、1,8シネオールの投与実験を行ったところ、1,8シネオールは生体内においても腫瘍縮小効果を有することを明らかにした。
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