研究課題
我々は肝切除後の残肝増殖においてK-ATPチャネルopenerとしてのDiazoxideが肝切除後の残肝増殖能を向上させることを解明し報告した。今回、その残肝増殖能向上に関与する遺伝子群の発現profilingを行った。8週齢のS-Dラット雄を用い70%肝切除を施行した。肝切除時にDiazoxidを投与し、投与群(Diazoxide投与群:DX群)と非投与群(Control群:Ct群)で、投与後24時間における遺伝子発現変化を検索するため、mRNA抽出後、Microarray法を用い検討した。Ct群に比し2倍以上の発現上昇を認めたものをupregulationとして検討した。細胞増殖関連では、TGF-beta関連のSKI-like proto-oncogene、血管内皮細胞増殖のthymidine phosphorylaseがupregulateされていた他、細胞接着関連のCD44やuroplakin 3B、adducin 3などが上昇していた。また、energy metabolism関連では、cytochrome P450やcarnitine O-octanoyltransferaseが上昇しており、さらにミトコンドリア関連のenoyl-CoA delta isomerase 1の上昇も認めた。これら細胞分裂、細胞接着、エネルギー代謝などの細胞分裂・増殖に直接関与する因子の他、特異的な反応としてneural factorであるneuropeptide Y、tenascin C、glycoprotein m6a、serpin peptidase inhibitorなどの上昇を認めた。K-ATPチャネルopenerのDiazoxideを投与することにより、分裂増殖関連因子をupregulateしているのに加え、神経関連因子の関与が示唆された。
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