研究課題
大量肝切除を予定した症例に対する門脈塞栓術後の肝再生に関する臨床的検討を行った結果、黄疸肝症例では減黄の有無に関わらず肝再生が誘導され、拡大肝切除を予定する胆道癌症例に対する門脈塞栓術は黄疸の有無にかかわらず安全に施行できる手技であることを報告した(Hepatogastroenterology. 61: 908-15, 2014)。さらに門脈塞栓術後の肝再生に関与する因子の検討では、単変量解析において予定残肝容積、全肝容積、血清ALP値、血清γGTP値、血清CRP値が残り、さらに術前IL-6値、術前ヒアルロン酸値が有意な因子として抽出された。多変量解析では予定残肝容積、全肝容積の他、血清ALP値、血清CRP値が独立した因子として抽出された。特に門脈塞栓術前の3日以内の胆管炎の有無(急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン:TG13に準拠した定義による)は有意な肝再生抑制状態であることが示唆された。マウス胆管内にlipopolysaccharide(LPS)を注入して胆管炎モデルを作成したのちに70%領域の門脈結紮を行い、その後の肝再生についての検討を施行している。胆管炎モデルでは門脈結紮後の結紮葉の縮小が正常肝モデルと比較して遅延しているとともに、非結紮葉の再生遅延が確認されている。以前報告したマウス胆管結紮モデル(J Surg Res. 162: 46-53, 2010)では、肝星細胞の活性化と類洞内皮障害が肝阻血再灌流障害に関与していることを報告しており、胆管炎モデルにおいてエンドセリン1および肝星細胞の活性化の有無、さらには過大肝再生に関与するメカニズムを探索するために、肝幹・前駆細胞の機能解析などを免疫組織染色および細胞内シグナル伝達の観点から検索を行っている。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)
British Journal of Cancer
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