研究課題/領域番号 |
25462085
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
坂口 孝宣 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (70313955)
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研究分担者 |
森田 剛文 浜松医科大学, 医学部, 助教 (60464129)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 肝臓外科学 / 肝細胞癌 / 脂質代謝 / 脂肪酸 |
研究概要 |
本研究の目的は、肝細胞癌の発癌機構や癌進展における脂肪酸合成・代謝経路の関与を明らかにすることである。 今回、B型、C型肝炎由来、B・C型肝炎のないNASH由来の肝細胞癌切除検体各5例づつを用い、癌部・非癌部組織中の脂肪酸量を質量顕微鏡を用いて半定量した。 現在のところ、NASH由来肝細胞癌切除検体では、非癌部に比べて癌組織中でpalmitic acid (PA, C16:0、糖から生成される最初の脂肪酸)が減少、PAに炭素数を2つ伸長する酵素Elovl6によって生成されるstealic acid(SA, C18:0)が増加していること、責任酵素Elovl6蛋白が癌部で高発現していることを発見した。 PAが小胞体(ER) stress惹起物質であること、NASH由来肝細胞癌はElovl6を強発現することでmetabolic syndromeに付随する高い資脂質状態によるER stressを回避している、との仮説を立て、検証実験を行った。肝細胞癌cell line 3種類はPA高濃度存在下ではER stress関連蛋白発現が増加すること、細胞生存率が低下することが判明した。Elovl6をsiRNAによるknock-downすると、PA誘発性のER stressは更に増加することより、我々の仮説が妥当であることが示唆された(尚、virus vectorを用いてElovl6を強発現させると、それだけでER stressを起こすようであり、こちらは研究方法としては妥当ではない、と考えている)。 今後、種々の確証実験を行うことで我々の仮説を実証し、数か月以内に論文投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝細胞癌cell lineを用いた研究まで順調に進んでおり、この点ではおおむね遅滞はない。
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今後の研究の推進方策 |
NASH由来肝細胞癌発癌mouse (STAM mouse)はあまりにも人工的なモデルのためか、preliminary studyでは肝細胞癌切除検体や肝細胞癌cell lineによる研究結果と一致しない部分がかなりあり、参考にならないと考え、mouse modelを用いた研究は実施しない方向で検討している。
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