研究課題
肝虚血/再潅流モデル(I/Rモデル)を用いたTLR4の機能解析を行なった。TLR4阻害剤を肝虚血再潅流モデル(I/Rモデル)へ投与し、その1時間後に全肝虚血(20分)/再潅流を行い、6時間後の肝機能、腹腔内所見について検討した。TLR4阻害剤の非投与と比較して肝障害の改善は認めなかったが、腸管浮腫についてはTLR4阻害剤の投与により改善傾向を認めた。肝虚血再潅流モデル(I/Rモデル)へのCCL4の2週間連続投与後のTLR4阻害剤の投与による肝機能について検討した。TLR4阻害剤の非投与と比較してTLR4阻害剤の投与による肝障害の軽減効果はなかった。閉塞性黄疸の動物モデルであるラット胆管結紮モデルを作成した。胆管結紮1日モデルと胆管結紮7日モデルでは、胆管結紮1日モデルのほうが肝障害は重篤であった。この胆管結紮1日モデルと胆管結紮7日モデルに全肝虚血(20分)/再潅流を行い、6時間後の肝機能について検討した。その結果、胆管結紮のみでは肝障害が軽度であった胆管結紮7日モデルのほうが肝虚血再潅流により肝障害が重篤化していた。胆管結紮7日後/肝虚血再潅流モデルにTLR4阻害剤の投与を行ない、その肝機能について検討した。TLR4阻害剤の投与により肝機能の軽減を認めた。次に胆管結紮7日後/肝虚血再潅流モデルより切除した肝組織の病理学的検討を行なった。HE染色にて肝組織内に壊死と膿瘍を認め、胆管結紮モデルで認められた壊死、膿瘍よりも広範囲に及んでいた。免疫染色にてTLR4の発現は減弱していた。胆管結紮7日後/肝虚血再潅流モデルより切除した肝組織でのPCRでの検討ではIL6およびIL1bの発現が亢進していた。