研究課題/領域番号 |
25462090
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
飯田 通久 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (50554797)
|
研究分担者 |
飯塚 徳男 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (80332807)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 肝細胞癌 / 脈管浸潤 / 予後マーカー |
研究概要 |
MCM(Minichromosome maintenance)はDNA複製ヘリカーゼでMCM2-7の6つのisoformから構成されている。MCM6はそのisoformのひとつであり、脳腫瘍や悪性リンパ腫で癌の進展と関連することが報告されているが、肝細胞癌における発現については報告されていない。当科ではHCCの遺伝子発現プロファイルを用いて肝切除後の予後に大きく関与する門脈浸潤関連分子の同定を進め、ID2、RDBPなどの分子を同定してきた。今回、当科で過去に切除したHCV陽性肝細胞癌のパラフィン包埋標本114例を用いてMCM6蛋白抗体を用いて免疫染色を行った。 同一患者の非癌肝組織とのMCM6蛋白発現を比較することでHCC におけるMCM6蛋白の発現上昇があるかどうか検討したところ、MCM6の発現は非癌部で75%(79/104)が10%以下の発現であったが、癌部では89%(102/114)が10%以上の発現を示しており、癌部でのタンパク発現が増強していることが分かった。またHCC症例においてMCM6蛋白発現量を40%未満の低発現群と40%以上の高発現群にわけて臨床病理学因子との関連性を検討したところ、MCM6蛋白高発現群では門脈浸潤陽性例が多く、脈管浸潤陽性例が多く、多発症例の割合が多かった。 またMCM6蛋白高発現群とMCM6蛋白低発現群における生存をカプランマイヤー法にて検討したところ、全生存期間および無再発生存期間が、MCM6蛋白高発現群ではMCM6蛋白低発現群に比べ、優位に生存期間が不良であった。 以上の結果よりMCM6蛋白発現はHCCにおける脈管浸潤などの悪性度に関連しており、予後マーカーとなりうると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免疫染色によるMCM6タンパク発現の解析は順調に進んでいる。 機能解析については今後進めていく予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は細胞株における機能解析を進める予定であるが、まずは肝癌細胞株におけるノックダウンを行い、浸潤能や増殖能などを検討していく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本年度の免疫染色実験において、MCM6抗体の購入費を計上していたが、研究が順調に進んだことにより、予定より低額に抑えられたため、未使用額が生じた。 次年度使用分と合わせ、遺伝子ノックダウン用試薬の購入費用とする。
|