研究課題/領域番号 |
25462091
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
森根 裕二 徳島大学, 大学病院, 助教 (60398021)
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研究分担者 |
島田 光生 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10216070)
池本 哲也 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20398019)
宇都宮 徹 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (30304801)
居村 暁 徳島大学, 大学病院, 助教 (90380021)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Epigenetics / HDAC / 肝再生 / 加齢 / 肝切除 |
研究概要 |
Epigeneticsに着眼した加齢肝機能不全の解明と制御に関する研究 本研究は加齢肝のi)背景肝内環境要因のエピジェネティック変化の包括的解析、ii)機能不全機序解明と大量肝切除の適用、iii)加齢肝の虚血再還流障害・肝再生のエピジェネティック制御、を通して加齢肝切除後肝再生の制御法の確立を目的とする。 1. Balb/cマウス4週令を若年群、40週令を加齢群とし、肝切除前遺伝子発現の変化を確認したところ加齢群において加齢遺伝子のSMP30の低下、P66src・p16INK4aの有意な上昇を確認した。両群に70%肝切除を施行したところ、若年群は全例生存したが、加齢群では術後4日目までに半数が死亡した。術後肝障害もAST・ALT・LDH・T-Bilが術後48時間以降、加齢群で有意に上昇していた。肝再生因子(mRNA発現)では術後24時間でHGF・CyclinA2、術後48時間でMet・CyclinD2が加齢群で有意に減少していた。さらに肝切除術後SMP30 mRNAの有意な低下、p16INK4a mRNAの有意な上昇は継続していたことから、肝切除術後加齢肝再生には加齢遺伝子の関与とともに肝再生能の減弱が確認された。 2. Balb/C若年群に70%肝切除を施行し、HDAC阻害剤(trichostatin A: TSA)を肝切除術後2mg/kg/12時間投与したところ術後72時間におけるHDAC活性の低下とともにCyclin A2/B1/D1/E1 mRNAの上昇を認め、肝再生における増殖サイクルの上昇が確認された さらに術前TSA 100mg/kgに投与したところ術後24時間のALT・T-biの低下とともにAFP mRNAの有意な低下とともに、分化誘導因子のHNF3B mRNA、Glutamine synthetase mRNAの上昇を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記実験系において加齢肝における遺伝子発現とともに、術後加齢肝再生能の減弱に関与する遺伝子群(特にCyclin)を同定した。これらは加齢肝再生能減弱における病態解明や治療戦略を考察するうえで重要な遺伝子群で、すでに学会発表するとともに論文作成中である。またHDAC阻害剤の影響も増殖関連遺伝子を中心に検討中であり、若年群のみではあるが、細胞周期や細胞分化に関与する遺伝子に影響を及ぼすという示唆に富む結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策:H26年度はEpigenetic制御による肝再生能への影響について、さらに解明していくととも、加齢群においても同様に行っていく予定である。さらに包括的遺伝子発現についても検討を加えたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画書作成時に購入予定であった消耗品の価格変動のため 次年度への繰越額は消耗品に使用予定である
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