研究課題/領域番号 |
25462092
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
居村 暁 徳島大学, 大学病院, 助教 (90380021)
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研究分担者 |
坂東 良美 徳島大学, 大学病院, 准教授 (00238239)
島田 光生 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10216070)
池本 哲也 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20398019)
宇都宮 徹 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (30304801)
岩橋 衆一 徳島大学, 大学病院, 特任助教 (30531751)
森根 裕二 徳島大学, 大学病院, 助教 (60398021)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 肝癌 / 肝移植 / 肝切除 / 腫瘍微小環境 / 再発 |
研究概要 |
1.肝細胞癌の腫瘍微小環境に関する研究として、肝細胞癌切除標本を用いて腫瘍内のSTAT4、IFNγ発現やCD8陽性細胞浸潤と腫瘍悪性度との関連を検討した。・非癌部におけるSTAT4およびIFNγ遺伝子発現は癌部と比較して有意に高発現していた。またSTAT4遺伝子発現はIFNγ発現と相関しており、さらにSTAT4発現はCD8陽性細胞浸潤とも相関していた。・免疫組織学的染色においてCD8陽性細胞は非癌部で有意に高発現しており、またSTAT4高発現群では低発現群と比較し、CD8陽性細胞が有意に高発現していた。・無再発生存率の検討ではSTAT4およびIFNγ遺伝子高発現群ではともに低発現群と比較し、有意に生存率が良好であった。 2.肝細胞癌切除標本(n=48)の非癌部におけるCD44遺伝子発現をRT-PCR法を用いて検討し、CD44高発現群と低発現群とに分類し、臨床病理学的因子を比較検討した。・CD44高発現群(n=24)は低発現群(n=24)と比較し、des-gamma-carboxy prothrombin高値、進行したStageが多い傾向であり、CD44高発現群の肝切除後無再発生存率は低発現群と比較し有意に不良であった(3年:18.2% vs. 50.1%)。またCD44高発現群は低発現群と比較し再発率が高く(70.8% vs. 41.7%)、多中心性肝内再発を多く認めた。・再発危険因子の検討では、単変量解析で非癌部CD44高発現、組織学的門脈侵襲および肝内転移、進行病期が有意な再発危険因子であり、多変量解析では非癌部CD44高発現と組織学的門脈侵襲が独立した再発危険因子であった。このことは肝細胞癌の非癌部肝組織におけるCD44遺伝子発現は、肝切除術後の多中心性再発のみならず肝内転移再発にも関与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝細胞癌において腫瘍内STAT4やIFNγの発現、また非癌部でのCD8陽性細胞浸潤との関連を確認できたことは腫瘍微小環境と腫瘍悪性度との関連を明らかにするために有用な知見と考えられる。また、肝細胞癌におけるCD44遺伝子発現の臨床的意義についての検討では、非癌部肝組織における癌幹細胞マーカー発現は、肝切除術後の多中心性再発に限らず肝内転移再発にも関与することが示唆された。これらの結果は、今後、腫瘍自体が悪性度、高転移能を獲得する過程において腫瘍微小環境と臓器微小環境がともに関連することを示唆する有用な知見である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策:上記結果に加えて、肝癌細胞増殖と間質変化および癌幹細胞、上皮間葉転換との関連につき、肝癌細胞株を用いた研究を行っていく。さらに動物モデルを用いて、癌幹細胞マーカー発現細胞を皮下および同所性接種したモデルを作製し、腫瘍径、増殖能、細胞形態、間葉系マーカー発現を評価する予定としている。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画書作成時に購入予定であった消耗品の価格変動のため 次年度への繰越額は消耗品に使用予定である
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