研究課題/領域番号 |
25462100
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
伊藤 義也 北里大学, 医学部, 非常勤講師 (40203187)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 肝修復 / 肝再生 / マクロファージ / BLT1 |
研究概要 |
肝虚血再潅流障害後の肝組織修復制御機構におけるBLT1受容体シグナルの役割を解明するために、BLT1受容体ノックアウトマウス(BLT1-/-)並びに野生型マウス(WT)を用いた。まず、BLT1受容体発現とLTB4合成酵素である5-LOX発現がそれぞれ増強した。また5-LOX発現細胞はクッパー細胞であった。BLT1-/-における肝組織修復と増殖因子を解析すると、BLT1-/-では肝修復期における肝障害が遷延し、肝細胞増殖が遅延した。さらに肝再生成長因子の発現を解析したところ、VEGF, VEGFR1,EGF(Epidermal Growth Factor)などの肝内発現が抑制された。マクロファージの肝修復に果たす役割を解析すると常在マクロファージ(クッパー細胞)ではなく、集積マクロファージの関与が示された。さらに集積マクロファージはVEGFR1陽性マクロファージであり、またEGFを産生した。実際にEGFが肝修復に関与しているかどうかを調べる目的でEGF中和抗体投与をしたところ、肝修復が遅延した。以上の結果から肝虚血再潅流後の肝組織修復過程にはBLT1受容体シグナルを介してマクロファージが障害肝に集積し、EGFを産生して修復が促進していることが示唆された。このことから、BLT1受容体シグナルが肝修復に重要な役割を果たす脂質メディエーターである可能性が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
肝虚血再潅流障害後の肝組織修復制御機構におけるBLT1受容体シグナルの役割に関して、論文に発表することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
マクロファージの関与とその制御機構について、さらに詳細な検討をするため実験計画を進めていく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
年度内に納入が間に合わない商品が生じ、その助成金分は次年度に繰り越すこととなったため。 実験動物の購入および飼育費用と試薬、抗体などの購入に使用する。
|